名残惜しい knmc ページ18
▫️恋人(一人称視点)
※彼から乖離してる話。
さっきからぎゅうぎゅうと抱きついてくるのは刀也くんだ。
その刀也くんを見ながら私は電話相手、仕事関係の人に話しかける。
「すみません。そろそろ、はい、」
失礼しますと言って電話を切った。
スマホを置いて、再び剣持くんを見る。
ベッドに腰掛けていた私のお腹に頭をうずめてぐりぐりとしてきていたのだ。普通に鳩尾あたりでうっときてましたよ、ねぇ…。
どうしたのとは聞かずに、ずっと彼の頭や肩、背を撫でる。程なくしてぐりぐりとしていたのが止まった。そろそろかな。「A、」とくぐもった声で呼ばれた。
「なぁに」
「嫌いになってない？」
「嫌いにならないよ、好きだよ」
「でも、さっき仕事の邪魔しちゃったし」
先程、仕事関係の電話をしていたけれど、刀也くんが抱きついてきたので早めに切ったのだ。
しょんぼりとした声に返答する前にその可愛さを噛み締めてしまった。
実は抱きついてきたときから嬉しくて仕方がなかったのだ。
だって、この甘えの行動は数ヶ月に一度くらい。久々にこんな風に甘えられて嬉しくないはずがない。
ぎゅう、
「いたた、」
返答が遅かったから腕に力を込められ、更に頭をお腹へ押し付けられた。
ちょっぴり痛いけれどこれまたかわいい。
「刀也くんが好きだよ」
「うん、僕も」
ゆっくりと離れた刀也くんは髪が乱れていた。それを自分で乱雑に直す。サラサラしてるからそれだけで元通りになっちゃうのずるいなぁ。
刀也くんは先程のが無かったかのようにすましたような表情になった。いつも通りに戻ってしまったのだ。
あーあ、名残惜しい。
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可愛いで終わりたいならここまで。
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作者名：Nk | 作成日時：2024年1月21日 22時
