雑誌 gk ページ16
▫️恋人(gk視点)
※ヤンデレ風味
………彼女がさっきから雑誌に載る1人の男をずっと見ている。
テーブルの上に広げられた雑誌、とあるページに何度か戻ってきては繰り返し見ているのが目について、彼女の動向が気になる。今度は載っている男を見てくすっと笑った。
それに我慢ならなくなって話しかけた。
「さっきからそいつばっかり見てますよね？」
「え？」
パチリと瞬きするさまを見ながら、一度言いだすと言葉が畳み掛けるように出てくる。オレって彼女のことになると我慢できないようだ。
「……なに？そいつがいいんすか？オレがいるのに」
雑誌は全然捲られないためか手持ち無沙汰な手がページの隅をいじっていたが、オレに話しかけられてやめていた。その彼女の手をとり雑誌から離させる。
「他のやつが見れないようにね、A……
閉じ込めようか？」
このまま手を引っ張ってしまえば、オレは意図も簡単に2人っきりのところへ連れて行けるのだ。人知の及ばない場所で誰にも見られず。あぁ、いいかもなぁ。なんて、仄暗い気持ちに心の中で自嘲めいた笑いが零れる。
「それって出られないの？」
「えぇ、閉じ込めてオレとずぅっと2人っきりってこと」
「うーん、それは困るかも。
まだガクくんと行きたい場所あるのに」
「…………行きたい場所？」
「うん！
あ！ほら、前にフルーツサンドくれたお店とか！店内めちゃくちゃ鬼かわいいって言ってたじゃん！美味しかったし、次は店内で食べてみたいなぁ」
「…………今日お店開いてると思うんで行きます？」
「え！行きたい！」
「午後から行きましょう」
「やったぁ！鬼かわいいお店とガクくんの組み合わせ見るの楽しみ」
うっ、かわいい……。
その笑顔にさっきの仄暗い気持ちが吹き飛んだ。たぶん、オレのこの言動は病みという類に入りそう。自覚はあるけど止められない。
彼女の嫌がることだけはしないと改めて決意して、お店の情報を確認すべくスマホを持つ。
彼女は雑誌を閉じて、ご機嫌に今日のお出かけする服を選び始めた。
お店に向かう途中、やっぱり気になってた雑誌のことを聞いてみた。
「あの、雑誌はなんでずっと同じページ見てたんすか？」
「あぁ！あれは載ってた服がガクくんに似合いそうと思って！想像してたらにやけちゃった」
「…………すき」
「え？」
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作者名：Nk | 作成日時：2024年1月21日 22時
