視線 knmc ページ15
▫️(一人称視点)
ーーーあ、また目が合った。
視線が合うと、剣持くんは口元を緩やかに歪めた。
それに私も笑顔で答える。
少し前から始まったこの謎のやりとり。
本音を言うとやめどきを見計らってる。
剣持くんの視線が突き刺さると心拍数があがってしまうのだ。
だって視線があつい。自意識過剰かもしれないけれど。そう1度でも思ってしまうと向けられる度に熱さを思い出す。
こんなドキ ドキを繰り返されて気にならない方がおかしいから、もうやめて欲しかったけれどやめどきを見失った私はまた笑顔を返してしまうと思う。
彼はもういなくなっていて、
熱さを感じなくなったのでほっと息を吐いた。
「Aちゃん、何か悩んでるの？」
目の前に座ってた花咲ちゃんが話しかけてきた。ついてしまったため息に心配かけてしまったようだ。大したことじゃないので訂正しておく。
「ないよ！
それよりも花咲ちゃん、メイク変えたの？」
「えー！分かってくれるの嬉しい！」
「うん、今日のメイクも似合ってていいね」
と、花咲ちゃんと話しをしてるうちにさっきの事は頭の片隅へ。盛り上がってまだまだ話をしたかったものの、次の仕事があるという花咲ちゃんと別れた。
誰もいなくなった途端、脳裏に剣持くんのさっきの顔が思い浮かぶ。また思い出してしまった。もう剣持くんのことばかり考えちゃうじゃん…。
はぁと、また息をこぼして机につっ伏して横をむく。
その私の視界に見慣れた制服が入った。
え。
ビックリしてそのまま動かない私に、しゃがみこんで目線を合わせてきた。またその視線をあびた私は上手く言えなくて掠れた声で名前を呼ぶ。
「剣持くん、」
「ふふっ」
いつもの可愛らしい笑い方でなんも変わりはないはずなのに、今はそれに心が乱される。
「そうやって僕のことでずっと考えてれば？」
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作者名：Nk | 作成日時：2024年1月21日 22時
