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▫️(fsm視点)
「ガクくん」
なんて名前を呼ばれた時には夢かと思った。
その声は、Aちゃんは、少し前にもう二度と会えない場所へ行ってしまったからだ。
なのに、彼女は再び現れた。自分は幽霊だと言って思いを告げて成仏したいとこれまた残酷なことを言った。
こんなに話せて、触れれるのに。
彼女の肩を掴む手に力が入ってしまったが、彼女はちっとも痛く無さそうだった。そんなところで生きてないだなんて感じたくなかったな。
「ーーー思い告げられて良かった。じゃあ、」
「Aちゃん、付き合いましょう」
驚きと歓喜、困惑で染まった表情をしていた。
もう、死んでるんだよ、と言葉をつっかえながら言うけれど、オレは覚悟決めてるよ。幽霊のキミの恋人になることを。じっと見つめ合う。数十秒。
おそるおそる、うんと頷いてくれた。
ごめんね。キミがいなくなってから思いを自覚したオレのワガママに付き合わせて。
…
空中に浮くリモコンに目を瞬かせた。
「見て見て！浮かせれた！ポルターガイスト的な！？」
「え！！そんなこと出来ちゃうんすか！？」
幽霊として再会した当初、彼女は物に触れられなかった。動かしたいなとリモコンと睨めっこしてるのを度々見かけていたけれど、この度ポルターガイストのように物を浮かすことができるようになったようだ。
「うん！頑張ればお料理できちゃうかも」
「前に一度Aちゃんのご飯いただきましたよね」
生前に一度だけ手料理を食べたことがある。その時にはもうオレのことが好きで1番の得意料理を振舞ったのなんて照れながら言われた。オレの彼女かわいい。
「Aちゃんの手料理また食べたいっすね」
「待っててね頑張るから！」
Aちゃんが気持ち込めて作ってくれるあの料理をまた食べれるなら幸せこの上ない。
また浮かせようと頑張る彼女に微笑ましくなった。
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作者名：Nk | 作成日時：2024年1月21日 22時
