あなたの隣2【短編集】 (ページ40)

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きつね色 gk ページ40

◻️恋人(一人称視点)

ちょっとした悪戯心だった。
パソコンに向かって、うとうとしてるガクくんのぴょこっと跳ねている髪に指をズボッと入れてみた。

ぼふんっ

「え」

さっき指を入れてたところがぴょこぴょこ動いてる。
やばいことしちゃった？と後退りかけたところで足が止まった。止まったと言うより何かに止められた。
それは足から腰へと意志を持って撫でていく。それとあわせて毛の感触に声が出かけた。

動けない原因を見ようと、ゆっくりと視線を下へ向けると茶褐色の尻尾が逃げないようにと巻きついていた。

「びっくりして“出た”じゃないですか」

ガクくんは今はもうぱっちりと覚めた目でニコニコと笑っている。

「悪戯してごめんね。

それで、足のこれ、離して欲しいな……？」

「ん？どうして？」

ふわふわすりすり。
手足のように自由に動く尻尾は神経直結なんだっけ？あれ？そう言ってたのは耳？でも、こんな自在に動かしてるから神経あるよね。

「消えるまで相手してくださいよ」

「自分の意思で出し入れ自由じゃなかった？」

「んー？」

意味ありげな笑顔できつね色の耳を揺らしていた。

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