まだ恋人じゃない gk ページ22
▫️モブ注意(一人称視点)
時計を確認する。
約束時間よりちょっと早めに着いたけど、今から喫茶店に入るのも微妙な時間だなぁと悩んだ末に待ち合わせ場所で待つことにした。
今日は伏見くんとサークルの買い出しだ。
ただの買い出しだけど、好きな人と出かけるので気合い入れてきた…入れすぎかな…鏡で髪を整えてそわそわする。
「あ！Aちゃん？」
声をかけてきたのは去年卒業した大学の先輩だった。何かと話しかけてきてたちょっぴり苦手な人だ。応えないわけにもいかず挨拶をする。
「先輩、こんにちは」
「可愛い格好してるね。デート？」
「デートじゃないです、けど、」
言い淀んだ。残念ながら伏見くんの彼女では無いので今日はただの買い出し。デートじゃないと言ったら、あからさまに先輩の声が明るくなった。それからの先輩のマシンガントークに相槌をうつことしかできない。あぁ、苦手かも。
「じゃあ、友達となんだ？どう？その友達と一緒にーーーー」
「A、お待たせ…この方知り合い？」
駆け足でよってきてた伏見くんがそう聞いてきたので、先輩と返した。先輩にも、伏見くんを一言だけ伝えようとしたら、1歩前に出た伏見くんが先輩に声をかけた。
「どうも、Aがお世話になってます。伏見です。」
「え、ああ、一人でいたから声をかけただけだよ」
「いやぁ〜助かりました。可愛いんでナンパされてないか心配で！先輩守ってくださってありがとうございました！」
じゃあ行うぜ、と伏見くんに手を取られて歩き出す。先輩に軽く会釈をするとぎこちなく手を振り返された。
助かったと安心するよりも、伏見くんの彼氏っぽいムーヴの方が気になった。助けてくれるためとはいえ可愛いと言って貰えたし、今も手を繋いでしまっている。それにいつもは名字で呼んでるのに、名前を呼び捨てされてドキ ドキした。怒涛すぎる。キャパオーバーになりかけるって。
足早に歩く伏見くんの様子を伺おうとするも、先を行く彼の顔は見えない。でも耳が赤いのは見えた。……もう、見なきゃ良かった。繋いでる手の汗がすごいことになりそう。
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作者名：Nk | 作成日時：2023年4月30日 0時
