癒したい gk ページ17
▫️恋人(一人称視点)
「つかれたぁ」
ガクくんが帰宅して、すぐにリビングのソファに座り込んだ。
かなり疲れた様子。上着がシワになっちゃうから脱がそうとしてもされるがままだ。珍しいかも。
「お疲れ様。入浴剤とか入れちゃう？少しは回復するかも」
「回復……キミの方が癒されそう」
いま、私はガクくんの膝の上に座っている。
これで癒されるのかな。
そう言いかけたけど、ガクくんがこれが癒されるって言ったんだから、するしかない。私に出来ることならなんでもしてあげたい気持ちはある。
「重くない？」
「うん」
くぐもった声が聞こえた。
喋りづらかったみたいで私の肩に頭をあずける体勢から身動ぎした。
肩に顎を乗せるようにして、より背中が密着する。首に触れる髪の毛がくすぐったい。
「手、貸して」
手をとられて、恋人繋ぎのようにしてにぎにぎと触られている。時折、握りしめて手の甲をさすられる。あの、触り方が、………あ〜明日のご飯は、とどうにか思考をずらす。こうでもしないとやってられない。
耳元で吐息が聞こえた。
「はぁ…癒される…」
独り言のつもりだろうか、いつもより低い声で囁くように言われて唇をかみ締めた。いい声してますね…。
…いや、これ、全力で狙ってやってるよね？ガクくんがあんまりにもな触り方をするので、お願いの言葉が口から出そうになる。言わせようとしてるガクくんに謎の対抗意識で口を噤んでいるけど。
葛藤する私をよそに、ガクくんは手を緩めない。ゼロ距離の声に無意識に手が動く。
「ねぇ、A」
「……なに？」
「なにか言いたいことない？」
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 231人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：Nk | 作成日時：2023年4月30日 0時
