君と紅い果実‐登坂広臣‐

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泣き声を抑えて暫く涙が頬を伝う。








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膝に顔をうずめて泣いていると、






不意に右側から聞こえて来る誰かの足音。







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ヤバい、と思って涙を拭いて立ち上がってり、左側から路地を出ようとした途端。






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後ろから聞こえたのは、







?｢城咲Aさん｣








少し低めの何だか心地良い、私の名前を呼ぶ声。







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いきなりの事に自然と足が止まる。






まだ目が赤く充血してることなんて忘れて、





後ろを振り向く。



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．







．


｢．．？｣




えっと、誰だっけ？






顔は分かる。名前が出て来ない。






えーっと．．．







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すると、その人はふっと軽く口角を上げて、







?｢俺の名前わからないんでしょ？｣




なんて言う。







無理に分かるフリする事無いか。





｢すいません．．．｣





ｺｸｯと頷いて謝ると、





その人は口元に手を持っていき、再び肩で笑う。





?｢分かりやすいね 全部顔に出てる(笑





俺、城咲さんの隣のクラス、5組の登坂広臣。


ま、分かる訳無いか(笑｣







登坂広臣？



すいません。知りません。笑






｢登坂さん。今覚えました!(笑



で、私に何か用ですか？｣





落ち込んでいたことを隠し、無理矢理笑いながら聞く。








広臣｢あー、いや。(笑







泣いてたでしょ。｣



えっ、







．





広臣｢ふふっ 驚き過ぎ(笑


路地に入っていく所見てさ。
ここの路地、暗いし危ないんじゃねぇかなーと思って、付いて来てた(笑





そしたら、泣いてたから。｣


さっきまで笑っていた顔が突然真剣な顔へと変わる登坂さん。







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｢あ、いやこれは．．．


何でも無いですから!!｣




とっさについた嘘。



広臣｢嘘、吐くの下手だね。


嘘吐かなくていい。


別に俺、泣いてた理由、無理矢理聞こうとか思ってないから。｣

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