君と紅い果実‐登坂広臣‐

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．




照れたように、




前髪をかきあげ、






｢とにかく、冬なんだし、髪乾かせよ？ 風邪引くぞ｣




と、ごまかした気もするけど、




心配してくれたのかな？と乙女心は純情に弾む。






．




｢隆二が電話するからでしょ？｣



と強がってみても、




｢お前が鞄おきっぱにするのが悪い。｣




と返されたらなんとも言えない。






｢忘れてただけだもん
それに風邪引いたら隆二に看病して貰うから大丈夫(笑｣




と冗談で言ってみると、





｢まぁ、Aの為なら何時でも来るから(笑｣



俺、甘やかし過ぎ？


なんて笑う隆二に、




冬なのに、私の頬は熱を帯びる。




ドキドキして、


熱くなって、





顔を手で仰ぐと、





｢え、マジで熱？｣



なんて私のおでこに冷えた掌をくっつける隆二。






益々、顔は熱くなって、




隆二の手は私の頬へ。



｢微妙に熱くなってる


よし、ガチで風邪引いたらヤバいから、帰るか。｣



と私に自分の巻いていたマフラーをグルグルと強引に巻き付けて、





マンションへと戻った。






｢着いた。よし、じゃあ、また明日な？


風邪引くなよ｣


ﾌﾌｯとまたバカにしたように笑って



手を振って帰って行く隆二。




まだ胸をドキドキさせながら、



後ろ姿を見送り、




オートロック解除。



下に来ていたエレベーターに乗り込んで、




隆二に言われた一言一言を思い出す。




まだ頭にはポンポンされた感覚が残ってて、





首には、不器用に巻かれた隆二の匂いがするマフラー。




何時もならこんな時間に一人で乗るエレベーターは怖くてめったに乗らないけど、






隆二が傍にいるようで、



いつの間にか、自分の階についていて、



るんるん気分のまま、部屋に戻って、





隆二に言われた通り、髪をきちんと乾かして、





結局、ベッドに着いて眠れたのは、




火照りが冷めはじめた深夜一時を回っていた。






｢いいの。幼なじみなんだから遠慮すんなって 家も近いしさ。｣



隆二に言われた“幼なじみ”という言葉を思い出し、



自分を苦しめながら、深い眠りに落ちた。

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