キスしないと出られない部屋 ページ8
｢！！｣
我に返った。自分の服を忘れて言ってしまった。出てきたドアのドアノブをガチャガチャ回すがビクともしない。
恥ずかしくてじわりと涙が溜まった。たとえここで外に出れたとしてもやばいし次に誰かいてもやばい。太もものほぼ半分、背中側は晒すという地獄のような服装に思わずしゃがみこんでしまった。
ここにずっと居ても何も起きない、そう思った私は10分程経ってから次のドアを握りしめた。
｢…｣
｢……あ、やっと来た、…ｯへ？！｣
｢うわっ！やだああああ！！！｣
｢早く入って見せてねぇねぇねぇねぇ！！！｣
これぞ地獄絵図。
扉を少し開けるとさっき目が覚めたっぽい坂田とパチッと目が合った。少しの隙間から手を伸ばしてきた。まるでゾンビのようだった。
｢分かったからっ！1回落ち着いて｣
｢っ、わ、分かった！！やから入って！！｣
坂田は本当に犬のようだ。赤チェックのワイシャツにジーパン姿の坂田は何故か腕まくりをしてじりじりと下がっていく。
なるべく縮こまって部屋に足を進めるとバンと勝手に扉が閉まった。コレで
((…逃げ道は、ない！！！))
坂田も同じことを思ったのか舌舐めずりをして私に突進してくる。そして肩を掴んだ。
｢…なんちゅう服着とるん…！！｣
ゴクリと唾を飲み込む坂田。そんな目をキラキラさせないでくれ。私はふいっと目を逸らすとちょうどもモニターが見えた。
【キスしないと出れない部屋】
【5分以内に実行してください】
｢…だってさぁ｣
｢……っぐ、ちょっと待って｣
｢さっき会った時より反応可愛くなっとる気がす…むぐっ｣
なんか変な事言ってるから彼の口を手で塞いでやるとがばーっと私を抱きしめてきた。｢ひっ｣と短く悲鳴を漏らした。
塞いでた手の手首を彼は掴んで離した。そしてじぃっと見つめていると坂田は、ぱちぱちと何度か瞬きをしてキョロキョロと目線を泳がせ出す。
｢…んー、な、なんかそんな服でAとキスするのすんごい恥ずかしい…｣
｢……まずこの服が恥ずかしい｣
｢…手、手にしていい？…｣
｢するなら早くして…くだ、さい｣
坂田は耳までかぁぁっと真っ赤にして優しく手を包み込み、手の甲に優しくキスを落とした。王子様みたいなキスの落とし方にますます心臓がバクバクと音を立てた。
……なんだ、この心臓の痛み。
そして終わったと思ったお題だったが、モニターにこう表記されている。
【唇にお願いします】
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1056人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「歌い手」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
しらす - は？猫耳さかたんとか天使かよ (2019年4月23日 13時) (
レス) id: f34e486c2f (このIDを非表示/違反報告)
しょうゆのすけ(プロフ) - Blackgirlさん» コメントありがとうございます。続編もご期待に添えるよう頑張らせていただきます (2019年2月24日 15時) (レス) id: d6c32b13a2 (このIDを非表示/違反報告)
しょうゆのすけ(プロフ) - 歩さん» コメントありがとうございます。続編もよろしくお願いします…！ (2019年2月24日 15時) (レス) id: d6c32b13a2 (このIDを非表示/違反報告)
Blackgirl(プロフ) - みんな一途で可愛い。続編期待してるで。 (2019年2月22日 23時) (レス) id: 61c7222caa (このIDを非表示/違反報告)
歩 - ついに続編ですか！！おめでとうございます！黒幕も出てきた(？)事だし、これからの展開が更に楽しみです！続編もふぁいとですっ！ (2019年2月22日 20時) (レス) id: 13020661c3 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：しょうゆのすけ | 作成日時：2019年1月21日 16時
