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温もりを感じた。うつ伏せで顔だけ横に向けて私は眠っている。その私の手を誰かが優しく握っている。暖かい。……程よく優しい。
ゆっくり現実世界に目が覚めた。茶色の髪が呼吸に合わせてサラリと揺れている。彼も私と同じようにうつ伏せで私の方を向いて眠っていた。長い睫毛がカーテンのように並んでいる。
近くてだれか判断出来ず、覚めない頭でぼーっと彼を見つめた。…昨日、確か坂田が眠ってから、お風呂に入って、ぼーっと椅子に座っ出たらそのまま机にうつ伏せで眠ってしまって…。
「……っ、誰!」
目が覚めた。私は彼から手を離して声を上げた。するとその声に目を覚まし、枕に顔を埋めたまま目をこしこしと擦った。
「…おはよ」
「…さ、坂田…どこ…」
声をかけられたけど、坂田がベットから消えていることに驚いて上半身を起こしキョロキョロと見渡した。すると茶髪の彼はがっと私の手首を掴んだ。
「……おはよ、って聞こえてた?」
「…ぁ、おはよう…」
見慣れてるはずなのに、この2日3日が長くて久しぶりに会った気がした。私は彼に話しかけた。
「坂田、どこ?……昨日ここで寝ててはずなの。先に起きたのかな、ねぇ、知って__」
その瞬間、視界がぐわんと反転した。彼を見つめていたはずが、次に目を開くと天井と彼の無表情な眼差しだけが刺さっていた。
「…そんなに僕に嫉妬して欲しかったの?淡々とほかの男の名前出して…」
私をベットにまた押し倒した、ということにやっと気付く。声を荒げようとするが、声が出ない。そこで口元を手で覆われていることに気が付く。突然の事に私は少し息を荒くさせ、私の口元を覆う大きな手の手首を掴んだ。
彼は赤い瞳を細め、私の乱れた髪を優しく撫でた。
「………もう、いっぱい嫉妬してる」
そう言って覆っていた手を離し、すかさず唇を押し付けた。もうバッチリ私の目は目は覚めた。
「………あまつき、くん」
私が彼の名前を呼ぶと嬉しそうに私の上に覆い被さった。布団と私の足と天月くんの足が絡み合って、彼の髪の香りがふわっと漂う。面白そうにクスクスと笑った天月くんは、その後に私の耳元でこう言った。
「…だいせーかい。」
彼が一体何をしたのか、大体予想はついていた。
___背後から糸を引く【黒幕】だと言うことを。
to be continued…?
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しらす - は?猫耳さかたんとか天使かよ (2019年4月23日 13時) (レス) id: f34e486c2f (このIDを非表示/違反報告)
しょうゆのすけ(プロフ) - Blackgirlさん» コメントありがとうございます。続編もご期待に添えるよう頑張らせていただきます (2019年2月24日 15時) (レス) id: d6c32b13a2 (このIDを非表示/違反報告)
しょうゆのすけ(プロフ) - 歩さん» コメントありがとうございます。続編もよろしくお願いします…! (2019年2月24日 15時) (レス) id: d6c32b13a2 (このIDを非表示/違反報告)
Blackgirl(プロフ) - みんな一途で可愛い。続編期待してるで。 (2019年2月22日 23時) (レス) id: 61c7222caa (このIDを非表示/違反報告)
歩 - ついに続編ですか!!おめでとうございます!黒幕も出てきた(?)事だし、これからの展開が更に楽しみです!続編もふぁいとですっ! (2019年2月22日 20時) (レス) id: 13020661c3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:しょうゆのすけ | 作成日時:2019年1月21日 16時