＊ ページ25
「…力、抜いてていいで？」
「むり、やめて…」
怖かった。太ももなんて、男に触れられるなんて、ない事で、違う世界で。
注射を受ける子供みたいで、怖くて。嫌、とか無理だとか言って駄々をこねて首を横に振った。そらるさんは太ももの外側を指の腹でなぞった。ビクビクと背骨が抜かれるような感覚に襲われてがっしりとした坂田の腕の袖をぎゅーっと握りしめる。
「っあはは、かわいい…ねぇ、どんな感じ？」
「っ、…ゃだ、」
坂田が楽しそうにゆっくり内腿に指を伸ばした。その瞬間、足がビクビクと震えた。だめだ。脳が真っ赤の危険信号を出していた。
本当に、保たない。心臓が保たない。
「…すべすべ。」
「っふ、…っ」
「ねぇ、A…志麻くんになに言われたの？」
そらるさんはそのキレのある頭を使って、今ドロドロに溶かされている私に甘く問いかける。反抗する気にもならなくて、このタイミングを狙っていたんだ、なんて理解する。
この白い空間は、私の今までの立場を真っ白にさせる。こんな事、いつもの学校生活では起きなかった。
ほんとうに、異様だ。今まで坂田達を逃げられるはずだった道が全部塞がれてて、アイツらのされるがままで。無様で、悔しい。
「しま、さんは、運営側だ…って話だけ、」
「ほんまなん？」
「っほんと、っほんとだから…っ」
それだけじゃなかったけど、もう説明する気力も残ってなかった。簡潔に説明して、ギュッと口を結んだ。
【00:00】
二人ともアラームとともに残念そうにゆっくり手を引いた。やっと冷静になった脳で、お題が私の弱点を狙っているのではないか、と考える。
｢Aの足に触れられる機会なんて無いもんなぁ。さすがやなぁこの部屋｣
この真っ白な空間の褒め方から、誘拐の主催者なんだなと悟った。志麻さんの言っていることは、本当に正しかったのだろうか。
｢本当に、私を誘拐したの？｣
｢ん？…まぁね｣
そう言ってそらるさんが床に目を落とした。坂田はいつもみたいに柔らかく笑っていた。
｢…そっか｣
なぜだか、心がぽっかり空いたような気がした。
あぁ、なんでだろう。
どこかで、依存してたのかな。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1056人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「歌い手」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
しらす - は？猫耳さかたんとか天使かよ (2019年4月23日 13時) (
レス) id: f34e486c2f (このIDを非表示/違反報告)
しょうゆのすけ(プロフ) - Blackgirlさん» コメントありがとうございます。続編もご期待に添えるよう頑張らせていただきます (2019年2月24日 15時) (レス) id: d6c32b13a2 (このIDを非表示/違反報告)
しょうゆのすけ(プロフ) - 歩さん» コメントありがとうございます。続編もよろしくお願いします…！ (2019年2月24日 15時) (レス) id: d6c32b13a2 (このIDを非表示/違反報告)
Blackgirl(プロフ) - みんな一途で可愛い。続編期待してるで。 (2019年2月22日 23時) (レス) id: 61c7222caa (このIDを非表示/違反報告)
歩 - ついに続編ですか！！おめでとうございます！黒幕も出てきた(？)事だし、これからの展開が更に楽しみです！続編もふぁいとですっ！ (2019年2月22日 20時) (レス) id: 13020661c3 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：しょうゆのすけ | 作成日時：2019年1月21日 16時
