ドッキリ系歌い手、今日も頑張ります 【歌い手】

＊喋れないドッキリ＊ ページ25

｢みずき、ほら言ってよ？｣

｢い、うい…｣

｢うーんどうしよう、動画取れないよ〜…｣



誠に申し訳ございません。動画取れる時間までにはバラすから今は私に構ってやぁ〜？


｢え、今来たばっかなんだけどどうしたのこれ｣


天月くん(遅刻)が困ったように私に駆け寄った。するとまふくん(遅刻)とうらたさん(遅刻)が天月くんに事情を説明しようとする。そこを遮るように喋れない設定の私(ギリギリセーフ)が天月くんに不安な顔で話しかける。


｢しゃえれなくにゃた…ああついくぅ、…っあ、…あ"ー｣

｢うぇ、な、なんて…？｣

｢…あー、なんか、呂律が回らないし上手く声が出ないみたいやねん｣


さかたん(一番乗り)がわたしに近付いて『あー…』と言うから大きく口を開けてみせた。完全に医者やんさかたん。やけどもちろん何も悪くない口の中。彼は首を傾げた。


｢なんもおかしないし、喉の奥レントゲン撮った方がええかもな…病院行こか？｣

｢…いやら｣


まぁ病院行ってもなんも無いからな！！！！

手を伸ばすさかたんの手をそっと押して離した。そしてまふくんにグッと近付いてこう言ってやる。まふくんは｢うぇっ？！｣なんて言って苦笑いで私を見つめた。


｢ろぅがとりゅ！！！まひゅくぅ、ろぅが！！｣

｢え、ろ、ろうが？…ど、動画ってこと？｣

｢あらし、やりゅきゃら、まひゅく、おねらい｣


翻訳すると『わたし、やるから、まふくん、おねがい』になるかな。うん。細く白い手を握って俯き震えるとまふくんはふっと笑って私の頬を撫でた。顔を上げるとまふくんは優しい声でこう言う。


｢じゃあ、今から動画撮るから…撮ったら病院一緒に行こう…ね？｣

｢……ん…｣

｢じゃあ動画準備お願いします！…Aは今日はあんまり喋らないでいいよ。風邪ひいて声が出ないみたいってリスナーさんには言ってあげるから｣


とんと背中を叩かれて本当にいい方だなって感心した。そして左に天月くんが座った。そして天月くんもよしよしと背中を摩ってくれた。


｢……っあ"ー、ほんまにええ人に会って私幸せ…みんな好き…｣

｢え、A？｣

｢…ぁ｣


うらたさんが驚いて私の名前を呼んだ。しまった。そして天月くんがコラとでも言うように頭を叩こうとした。が、ピタッとギリギリで手を止めた。そして天月くんはぽつりと零す。


｢……ドッキリはダメだしその発言もダメ｣

｢すみません｣



結果:みんな好き。


＊リクエストありがとうございました！＊

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