再び恋をはじめます【緑】 (ページ10)

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「家まで送ってくね」

『ありがと、』

分かれ道が近くなる度に次あっち？って聞いてくれて、だけどそれ以外は話さない。お互いに黙ったまま。

家までの最後の分かれ道に近くなって、ここ曲がってすぐだから、ありがとね、と伝えるとあのさ、ってひと呼吸おいてから亮平は口を開いた。

「連絡先、交換しない？」

『え？』

「俺のわがままで別れてくれたってことも連絡先を消してくれたってことも感謝してる。だけど、あの日からAのことを忘れたことはなかったよ」

『っ……』

「もう一回友達からやり直したい」

だめかな？とテレビで見るようなあざとい表情ではなくて、真剣な瞳で伝えてくる。

……だめなわけないよ

『………いいよ、』

「まじ？」

『うん、』

「めちゃくちゃ嬉しい…」

お互いにスマホを出して連絡先を交換する。

再び追加された亮平のアカウント。
アイコンは前と変わっていないメンバーとの写真。

『好きなんだね、メンバーのこと』

「自慢の仲間だからね」

照なんてさ体脂肪率一桁だからね、すごくない？って笑顔でメンバーのことを話してくれる亮平に自然と笑みが溢れてて

『ふふ、それはすごいね』

「でしょ？俺は絶対無理！」

前みたいに普通に話せるようになって嬉しい。

『曲がり角でいいって言ったのに』

「俺が送りたかったからいいの。それに少しでも長く一緒に居たかったし」

『え、今なんて…』

「ふふ、なんでもない！じゃあまた連絡するね。おやすみ！」

結局家の前まで送ってくれた亮平は手を振って来た道を戻っていく。わたしはその後ろ姿が見えなくなるまで見つめていた。

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