園遊会 後編 ページ7
(おや…？)
休憩が終わり、食事が始まった。玉葉妃の毒味役として後ろに控えている猫猫は、里樹妃の衣装が白に変わっていることに気がついた。
(誰かが教えたんだろうか？)
そう思いながらも猫猫は自分の仕事を進める。食前酒を飲み、毒が入っていないのか確かめる。その後出されたなますの具が青魚ではなくくらげで代用されていることに気づいた。
(誰かが間違えたのか？)
そう思っていると、青い顔をした里樹妃が震えながら青魚を口に入れているのを目撃した。苦手だったのだろうかと思っていると、秀雷を武官の席で見つけた。秀雷が訝しげな顔で里樹妃を見ている。そして気づいた。里樹妃の毒味役がニヤリと笑っていることに。明らかに青魚を食べれない里樹妃に対しての蔑みの笑みであった。
(嫌なもん見た)
額に青筋を浮かべながら平静を取り繕おうとしている秀雷を見ながら猫猫は運ばれてきた羹を口に含む。猫猫の顔に笑みが広がった。
「これ、毒です。」
秀雷は里樹妃の侍女を睨んでいた。人が苦手なものを食べている姿を見て笑うのはいかがなものだろうか。しかもかなり陰湿な笑みである。正式な場でなければ怒鳴りつけてやるところだ。
「おい秀雷、見てるか？」
隣に座っていた同僚が話しかけてきた。
「何を見ると？毒味役の娘が怯えながら毒味をする様か？」
「いや、あの毒味役なかなかに威勢がいいぞ！」
そう言われて視線を横にずらすと、先刻簪を渡した不愛想な少女がいた。玉葉妃の所の毒味役である。羹を薩慈に取り、口に入れる。頬は紅潮し、目は潤み、色っぽい吐息が口から漏れる。不愛想な少女が一流の妓女の笑みを浮かべていた。周りがどれだけ美味い羹なのかと生唾を飲み込む中、その毒味役は懐から手拭いを取り出し、口に当て、そして言った。
「これ、毒です」
周りは騒然となり、莫迦な大臣は毒を食らってあんなにぴんぴんしてるはずが無いとその羹を口にして痺れている。その中、秀雷は幕の隙間から手が現れこちらを手招きしているのを見つけた。壬氏である。秀雷は立ち上がり主人の元へ駆け出した。
「お呼びでしょうか」
秀雷が壬氏の元へ行くと、上司の高順、毒味役の少女猫猫もいた。
「ああ。お前に頼みたいことがある。里樹妃を執務室へお連れしてくれ。我々は先に行っている」
「御意」
秀雷は一礼し、里樹妃の元へ向かった。
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ゆう - すごく面白かったです！個人的にはおいしい設定なので続き楽しみにしてます！！ (2019年10月1日 2時) (
レス) id: 5fb09e599b (このIDを非表示/違反報告)
佰 - 面白いです！女性の武官って良いですね！続きが気になります！これからも更新頑張ってください！ (2019年7月26日 15時) (レス) id: 12eab0778e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：与一 | 作成日時：2019年6月24日 1時
