園遊会 中編 ページ6
里樹妃を見つけた。侍女達に囲まれながら歩いている。その一行の後ろを歩きながら秀雷は考えた。
(さて…どうやって話を切り出そうか)
勿体無い気もするが、秀雷は里樹妃の衣装を汚すことにした。
近づき、小石につまづいたフリをしてよろけ、妃にぶつかる。小柄で力も弱く体も軽い里樹妃は体制を崩し、尻餅をついた。
「里樹様！大丈夫ですか！？」
「何のつもりよ！ぶつかるなんて無礼じゃない！」
侍女達が口々に責めてくる。しかし彼女らの目は笑っていた。転んだ里樹を面白そうに眺めている侍女もいた。やはり考えは間違っていなかった。侍女達は里樹妃をいじめている。
秀雷は尻餅をついたままの里樹妃の前に屈み込み、手を差し出した。
「無礼をお許しください里樹妃。ずっと座りっぱなしで足がもつれてしまったのです。お怪我はありませんか？」
「…ありがとう」
里樹は俯きながら秀雷の手を取り立ち上がった。
「申し訳ございません。先程ぶつかってしまったせいでお召し物が汚れてしまいました。お着替えされた方がよろしいかと」
そう言って衣装を替ることを進める。確かに、さっき転んだせいで衣装に砂が付いていた。
「そうね…着替えた方が良いのかしら…」
里樹は着替えるために宮へ向かった。秀雷は、侍女達がまた桃色の衣装を勧めないために監視を護衛と称してついて行くことにした。
「お召し物は桃色より白の方が良いかと思われます。先程までお召しになっていた桃色の衣装は明らかに玉葉妃と被っていました。次回からは周りから何と言われようとこのような場では白に準ずる衣装にされた方がよろしいですね」
侍女達は秀雷に逆らうことが出来ない。彼女の方が立場も身分も上だからである。
せっかく妃に恥をかかせるために桃色の衣装を勧めたというのに。この女武官のせいで何もかも台無しである。しかも余計な事に妃が着るべき色についても教えていた。
「さぁ、着替えの衣装を準備して下さい。まさか白い衣装を準備していないとは言いますまいな」
秀雷は睨むように侍女達を見、命令する。
侍女達はつまらなそうな顔をして衣装を用意した。
秀雷も壬氏同様、後宮という花園を管理する立場である。壬氏が花園の庭師ならば秀雷はさしずめ番犬といったところか。女にしか分からないことがある。女にしか入り込めないところがある。女にしか出来ないことがある。壬氏に出来ないことを彼女が代わりに行うのだ。
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ゆう - すごく面白かったです！個人的にはおいしい設定なので続き楽しみにしてます！！ (2019年10月1日 2時) (
レス) id: 5fb09e599b (このIDを非表示/違反報告)
佰 - 面白いです！女性の武官って良いですね！続きが気になります！これからも更新頑張ってください！ (2019年7月26日 15時) (レス) id: 12eab0778e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：与一 | 作成日時：2019年6月24日 1時
