園遊会 前編2 ページ4
さて、園遊会当日がやってきた。主上と両脇に座る4人の妃たち。その姿は圧巻である。演奏を聴き、それに合わせて舞う女達を見る。なんと退屈な時間だろう。何よりも寒い。
(ああ…)
武官の席に座っている秀雷は早くもかじかんできた手をさする。いっそのこと女官や侍女達のように動き回れたら楽なのかもしれないが、そうはいかない。休憩が待ち遠しい。休憩まで後どれくらいだろうかと指を折りながら数えていると、秀雷は違和感に気がついた。徳妃理樹妃の衣装の色である。濃い桃色をしていた。
本来なら、４夫人にはそれぞれ象徴が与えられている。貴妃である玉葉妃は真紅と翡翠、賢妃である梨花妃は群青、淑妃は黒、そして徳妃は白。明らかに玉葉妃と被っている。空気が読めないのかと一瞬考えたが、その考えは間違いだったとすぐに理解する。徳妃の侍女は皆白い衣装を着ていた。真っ先に思い浮かぶのは侍女からの陰湿ないじめである。あり得ないと鼻で笑うかもしれないが、どうも徳妃の侍女達に良い印象が無い。
(これは壬氏様に報告しなければいけないのだろうか)
後宮の花である麗しの宦官を思い浮かべる。しかしそれは難しいだろう。“今の“立場では妃にどうこう言うことは出来ない。機会を見て妃本人に衣装の事を教えたほうがいいだろう。なるべく自然な感じで着るべき衣装に着替えさせる事ができれば良いが。
猫猫は幕裏で暖をとっていた。温石を持っていてもこの寒さである。やる事が無いのでたまに幕の隙間から園遊会の様子を見る。武官の中に1人だけ影の細い人物がいる事に気が付いた。よく見ると女性である。先日後宮で見かけた武官だった。しかもそれなりに高官の位置に座っている。彼女について尋ねると、桜花は丁寧に教えてくれた。
「女性の武官？ああ！秀雷様の事？あの人はね、特別な人なの。本来なら女が武官になるなんてあり得ない話なんだけど、彼女のお父様が武術の才を枯らすのは惜しいって主上に直談判したらしいわ。しかも一族を表す秀雷まで受け継いでるのよ」
凄いわよねぇと桜花は羨望の眼差しで秀雷を見つめる。体を冷やし過ぎたのか、秀雷がくしゃみをしたので休憩時間に温石を分けてあげようと猫猫は思った。
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ゆう - すごく面白かったです！個人的にはおいしい設定なので続き楽しみにしてます！！ (2019年10月1日 2時) (
レス) id: 5fb09e599b (このIDを非表示/違反報告)
佰 - 面白いです！女性の武官って良いですね！続きが気になります！これからも更新頑張ってください！ (2019年7月26日 15時) (レス) id: 12eab0778e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：与一 | 作成日時：2019年6月24日 1時
