傲り高ぶる ページ47
side.Sora
エイジに連れられ、Aがリビングに戻って来た。
「もう平気なの?」
ソファーへ倒れるように寝そべった彼女の元に駆け寄れば、蒼白い顔をしたAはそっと瞼を持ち上げた。
「さっきより、だいぶマシになった」
そうは言うが、血色は悪いままだし心持ちやつれたようにも見える。
「まだ顔色悪いよ……病院行く?救急病院なら空いてるかも」
ツリメの言葉に微かに笑ったA。
「大袈裟だなぁ」
寝返りを打って髪を乱したAはまた目を瞑る。エイジの服の襟から覗く彼女の白い首筋に目がいった。
「寝れば治るよ……」
小さな声でそう呟いた彼女は「寝れば治る」ともう一度同じ事を言って、動かなくなる。
「ここで寝るのはマズイって」
「………」
「A、家帰ろう」
「…………」
呼んでもAは返事をしない。俺は呆然とする。伏せた目元に並ぶ人形みたいに長い睫毛、まつげエクステとかいうやつかもしれない。起こそうとして彼女へ伸ばした手を直ぐに引っ込める。血の気の引いた頰を見て、無理矢理起こすのもなんだか悪いと思った。
「…どうすんの」
白い肌を見下ろしたツリメが呟く。みんなが戸惑う中で、男物の服を着た彼女を抱き上げたのはやっぱりエイジで、なんとなく予想通りだった。
「送ってくる」
そう言って、Aを抱えたまま家を出るエイジ。手伝うよと車の鍵を持ったりっくんがその後を追いかける。
「気を付けて」
彼等に声を掛けたツリメはホッとしたような顔をしてる。俺は遠くなるエイジの背中を黙って見送った。
何故か今日の彼は俺の心を乗っ取ったようによく動くから、乗っ取られた俺はうまく自分を動かせない。それを繰り返し何度も思う。エイジは、俺がしたいと思ったことを読み取ったみたいにAに接してる。だから少しも動けない。こんなのは自分じゃない。そう思う辺り、俺は自分を
328人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ゆき(プロフ) - 久しぶりに神作家さんみつけてとっても嬉しいです!はっぴー!連投失礼しました´`* (2019年1月11日 16時) (レス) id: 79b287e614 (このIDを非表示/違反報告)
ゆき(プロフ) - 数ページだけみてもわかるおもしろさでどんどん読み進めてしまいました!アバンティーズの会話とか、考え方とか実際言いそうだなぁと思って楽しかったです!(*^^*)とてもアバンティーズを愛してらっしゃることが伝わってきて、心が温まりました!展開もとても面白くて、 (2019年1月11日 16時) (レス) id: 79b287e614 (このIDを非表示/違反報告)
匿名(プロフ) - らぴまる 。さん» 嬉しいです。私もコメントを見るだけで1日ずっとウキウキしてます^ ^ 毎日更新できたらいいなと思いつつも、みんなの言い回しで凄く悩んでいます。こんなこと言わなさそうだなと思ったらまた書き直す…の繰り返しです!でも楽しい!メッセージありがとうございました! (2017年4月2日 23時) (レス) id: 5ddf379a2d (このIDを非表示/違反報告)
匿名(プロフ) - るなさん» 今までの長編は一人をメインに書いていましたが、今回は四人もいる…(´-`)ということで誰がどのタイミングで何を言うかなぁと考えるのがちょっと大変です。ですが、何故かその中でそら君だけ無駄に使いやすいです!(笑)メッセージありがとうございました! (2017年4月2日 23時) (レス) id: 5ddf379a2d (このIDを非表示/違反報告)
らぴまる 。(プロフ) - すごく展開が気になる作品ですね!こちらの作品は1日の終わりのたのしみです! (2017年4月1日 21時) (レス) id: 68c41e6b9c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:匿名 | 作成日時:2017年3月15日 0時