なんかさ、心臓がさ ページ32
「女の子ってさ、あれでしょ…あれ。アレが近付くとみんなプリプリすんじゃん」
エイジは少しばかり言いづらそうにしながらＴ字路で左右を確認する。
「…プリプリってなに」
「怒りんぼになるでしょ？」
バックミラー越しにそう聞かれた。普段通りだったり全然そうじゃない子も居るけど、あたしは割とその月によるから「まぁね」って頷く。
「だからたまにそんな感じになってストレス発散しても良いんじゃない。俺は別に気にしない」
エイジのこの感じ、嫌いじゃない。
不機嫌な時やしんどい時も、男にこの気持ちは分かんないでしょって何回か言ったことあるけど、エイジにそういう言い方をする時はきっとこれからも永久に来なさそう。
色々考え事をするあたしの隣で、冷静なハンドルさばきを披露するエイジ。彼は一度教えただけでもうあたしの家を覚えたらしい。なんというか凄い寄りの怖い。
「エイジは、空の事どんな人だと思う？」
「え？」
「あたしはどうやって答えるのがベストだったのかなって、わからなかったの」
「ああ、バカなやつとかで良かったんじゃない」
エイジは何でもないようにそう言った。そしてあたしの方を向いて笑う。
「だってバカじゃん、あいつ」
途端に体の中のモヤモヤがすうっと消えていった。
実際本当にそうなのかもしれない。彼を前にしてしまえば、あたしが彼女に伝えた”面白い人”とか一番つまらなくてしょーもない答えだったと今なら言い切れる。エイジは空の事をバカなやつって表したけど、そんなに愛のある表現って他にないと思う。
あの子のこと生々しいとか言って自分を棚に上げて、その割に空のことめっちゃ意識しちゃってた。あたしも相当”恋しちゃってます臭”がしてたのかもしれない。そう思うとなんか面白くなってきた。堪えきれずにふふふと笑う。
「…きもいなぁ、助手席の人が一人で笑ってる」
「思い出し笑いは一人でするものだもん」
「すご、開き直った」
呆れたように微笑むエイジ。曲がり角を曲がった時、あたしの家が見えてきた。もうお別れか。
「エイジ、あたしの家覚えてたの？」
「覚えれる訳ない。ナビに残ってるし」
え？ナビって、ねぇ。そりゃそうかという感じ。あたしってば意識し過ぎ。
家の前に止まった車。助手席から降りたあたしは「ありがとう」と一声かけて手を振った。同じように手をヒラヒラとさせた彼がアクセルを踏めば、車は遠ざかっていく。あたしは玄関の前に突っ立って、車が見えなくなるまで赤色を眺めてた。
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ゆき(プロフ) - 久しぶりに神作家さんみつけてとっても嬉しいです！はっぴー！連投失礼しました´`* (2019年1月11日 16時) (
レス) id: 79b287e614 (このIDを非表示/違反報告)
ゆき(プロフ) - 数ページだけみてもわかるおもしろさでどんどん読み進めてしまいました！アバンティーズの会話とか、考え方とか実際言いそうだなぁと思って楽しかったです！(*^^*)とてもアバンティーズを愛してらっしゃることが伝わってきて、心が温まりました！展開もとても面白くて、 (2019年1月11日 16時) (レス) id: 79b287e614 (このIDを非表示/違反報告)
匿名(プロフ) - らぴまる 。さん» 嬉しいです。私もコメントを見るだけで１日ずっとウキウキしてます^ ^ 毎日更新できたらいいなと思いつつも、みんなの言い回しで凄く悩んでいます。こんなこと言わなさそうだなと思ったらまた書き直す…の繰り返しです！でも楽しい！メッセージありがとうございました！ (2017年4月2日 23時) (レス) id: 5ddf379a2d (このIDを非表示/違反報告)
匿名(プロフ) - るなさん» 今までの長編は一人をメインに書いていましたが、今回は四人もいる…(´-`)ということで誰がどのタイミングで何を言うかなぁと考えるのがちょっと大変です。ですが、何故かその中でそら君だけ無駄に使いやすいです！（笑）メッセージありがとうございました！ (2017年4月2日 23時) (レス) id: 5ddf379a2d (このIDを非表示/違反報告)
らぴまる 。(プロフ) - すごく展開が気になる作品ですね！こちらの作品は1日の終わりのたのしみです！ (2017年4月1日 21時) (レス) id: 68c41e6b9c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：匿名
| 作成日時：2017年3月15日 0時
