嗅ぐ ページ28
好きな人がいると女の子ってキラキラしてる。程よい気持ちの時はキラキラで、それが強くなると雰囲気というかオーラというか、生々しい匂いが立ち昇って。時たまあたしは妙にそれが怖くなる。
「Aちゃんって、空君と仲良いね」
目の前にいる彼女も多分そう、噎せそうな程の匂いを撒き散らしてる。たまたまなのか故意なのか、隣の席に座ったその子とは多分顔見知りで、どちらかというと仲良くは無い。
「空君ってかっこいいよね」
教授の声と、彼女の声が耳の奥で混ざる。
「空君ってどんな人なの？」
…ううん。どんな人っていう質問ほど、正解のないクエスチョンってない。空は変態ですとあたしが言えば信じるの？彼女の思う空とあたしの思う空はきっと違って、そんなの人それぞれ。彼は大学ではスマートぶってるけど、シェアハウスでは半裸でウロウロしてたりするし、結構ビビりな所あったりするし、男だから下ネタだって話す。カッコイイところばかりではない。当たり前だ。
パンツで部屋を歩く空を想像しながら「面白い人だよ」と返した。
「どんな子が好きなのかなぁ」
好きになった子が好きなタイプだと思う。
「彼女は？」
いなかったはず。
「いつもどんな話するの？」
まるで早押しのクイズを出されているような気分だ。あたしは少し考えてから「ファッションの話とか好きかな」と答える。
「服かぁ…」
前髪を触った彼女は視線を右上にやった。「あんまり分かんないんだよね」とボヤいた彼女に「あたしも」と返す。
「どうやって仲良くなったの？」
「たまたま共通の友達がいて」
「…へー、いいなぁ」
「………」
前髪から手を離した彼女。
「あたしにも紹介してくれない？」
にんまりと、糸で吊り上げられたように笑う彼女の目の奥が濁っていてイヤだ。嫌いだ。
「空は…誰にでも優しいよ」
あたしも今吊り上げられた笑顔をしたんだと思う。途端に彼女の顔が引きつったのだ。
「…知ってる。優しいよね」
「うん、だから話しかけてみて」
言い切るようにそう吐き捨て、教材を鞄に詰め込み立ち上がった。あたしを呼び止めようとした彼女が女の顔でこちらを見たけど、無視して教室を出る。廊下を行く足音をわざときつく鳴らした。
「……なんか嫌な子」
呟いて、自分のあまりの冷たさにゾッとした。思い出しても言いようのない恐怖を感じるぐらい。これは嫉妬じゃない、嫉妬じゃない。生理現象のせいだ。言い聞かせて、あたしはもしかすると自分からもあの生々しい香りがしているのかもと思って、トイレに駆け込んだ。
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ゆき(プロフ) - 久しぶりに神作家さんみつけてとっても嬉しいです！はっぴー！連投失礼しました´`* (2019年1月11日 16時) (
レス) id: 79b287e614 (このIDを非表示/違反報告)
ゆき(プロフ) - 数ページだけみてもわかるおもしろさでどんどん読み進めてしまいました！アバンティーズの会話とか、考え方とか実際言いそうだなぁと思って楽しかったです！(*^^*)とてもアバンティーズを愛してらっしゃることが伝わってきて、心が温まりました！展開もとても面白くて、 (2019年1月11日 16時) (レス) id: 79b287e614 (このIDを非表示/違反報告)
匿名(プロフ) - らぴまる 。さん» 嬉しいです。私もコメントを見るだけで１日ずっとウキウキしてます^ ^ 毎日更新できたらいいなと思いつつも、みんなの言い回しで凄く悩んでいます。こんなこと言わなさそうだなと思ったらまた書き直す…の繰り返しです！でも楽しい！メッセージありがとうございました！ (2017年4月2日 23時) (レス) id: 5ddf379a2d (このIDを非表示/違反報告)
匿名(プロフ) - るなさん» 今までの長編は一人をメインに書いていましたが、今回は四人もいる…(´-`)ということで誰がどのタイミングで何を言うかなぁと考えるのがちょっと大変です。ですが、何故かその中でそら君だけ無駄に使いやすいです！（笑）メッセージありがとうございました！ (2017年4月2日 23時) (レス) id: 5ddf379a2d (このIDを非表示/違反報告)
らぴまる 。(プロフ) - すごく展開が気になる作品ですね！こちらの作品は1日の終わりのたのしみです！ (2017年4月1日 21時) (レス) id: 68c41e6b9c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：匿名
| 作成日時：2017年3月15日 0時
