青春じゃない ページ27
side.Sora
青空を見上げた。雲一つない快晴だ。天気の良い日はキャンパス内でも肌の露出が増えると思う。特に女の子、見晴らしは最高。
それはAも同じで、大学内のベンチに腰掛けていた彼女の足元は素足に近いストッキングだ。ちょっとラッキー。
「おはよう」
なにやら携帯の画面を真剣に見ていたAの背中に声を掛ける。でもイヤホンをしているようで気付かない。そんなにシリアスな顔して何を観ているんだろうと携帯を覗き込めば、画面にはアバンティーズ。というか自分。
「………」
なんとなく恥ずかしくなって声を掛けにくくなる。そっと隣に座った俺は、熱心な彼女の横顔を眺めた。唇とか髪とか足とか、男と違う彼女のパーツ全てが柔らかそうで良からぬことを考えそうになる。そんな俺の
「アバンティーズ」
俺の顔を見るなり彼女はそう言った。
「アバンティーズのそらちぃだ」
本物だと付け足したAに思わず苦笑いが漏れる。
「本物です」
「生そらちぃ」
「生です」
「動画観た後に見ると新鮮」
気に入ったのか、今一度”生そらちぃ”と呟いた彼女は俺の顔をじーっと見つめる。瞬きをするたびにセパレートした長い睫毛がちらちらと動いて、微かに開いた唇に目を落とした。
「…なんだよ」
「いや、やっぱりカッコいいなと思って」
ニコリと笑ったA。太陽が眩しい。俺はぎゅうと目を瞑って、心臓の辺りを強く握りしめた。直ぐにAが顔を覗き込んでくる。
「なにしてるの」
「今のきゅんと来た…」
わざとらしく目を細めれば、Aはまた笑顔になる。
「あはは、バカじゃん。可愛いね」
君の方が可愛い。そう言おうとして、それがなんだか冗談というよりも、本気っぽくて俺は咄嗟に口を閉じた。携帯を鞄に入れて、庭の中心にある時計を見上げたAは「授業あるんだった」と立ち上がる。
「またね」
ゆるい風と共にシャンプーの香り。
「A」
名前を呼べば、淡いブルーのスカートを揺らした彼女がこちらを振り返る。俺は一瞬俯いて、またAを見上げた。
「今度、みんなで
微笑んだまま頷いた彼女。手を振りながら校舎の方へ歩いていく。その背中を見送った後、俺はまた空を見上げた。飲み込まれそうなぐらい青い。その奥も青い。ずっとずっと青い。
ほらりっくんが余計なこと言うから、俺、好きかもしれないじゃん。
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ゆき(プロフ) - 久しぶりに神作家さんみつけてとっても嬉しいです！はっぴー！連投失礼しました´`* (2019年1月11日 16時) (
レス) id: 79b287e614 (このIDを非表示/違反報告)
ゆき(プロフ) - 数ページだけみてもわかるおもしろさでどんどん読み進めてしまいました！アバンティーズの会話とか、考え方とか実際言いそうだなぁと思って楽しかったです！(*^^*)とてもアバンティーズを愛してらっしゃることが伝わってきて、心が温まりました！展開もとても面白くて、 (2019年1月11日 16時) (レス) id: 79b287e614 (このIDを非表示/違反報告)
匿名(プロフ) - らぴまる 。さん» 嬉しいです。私もコメントを見るだけで１日ずっとウキウキしてます^ ^ 毎日更新できたらいいなと思いつつも、みんなの言い回しで凄く悩んでいます。こんなこと言わなさそうだなと思ったらまた書き直す…の繰り返しです！でも楽しい！メッセージありがとうございました！ (2017年4月2日 23時) (レス) id: 5ddf379a2d (このIDを非表示/違反報告)
匿名(プロフ) - るなさん» 今までの長編は一人をメインに書いていましたが、今回は四人もいる…(´-`)ということで誰がどのタイミングで何を言うかなぁと考えるのがちょっと大変です。ですが、何故かその中でそら君だけ無駄に使いやすいです！（笑）メッセージありがとうございました！ (2017年4月2日 23時) (レス) id: 5ddf379a2d (このIDを非表示/違反報告)
らぴまる 。(プロフ) - すごく展開が気になる作品ですね！こちらの作品は1日の終わりのたのしみです！ (2017年4月1日 21時) (レス) id: 68c41e6b9c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：匿名
| 作成日時：2017年3月15日 0時
