童話のような ページ26
side.Sora
「Aと付き合ってるの？」
突然りっくんにこんな質問をされた。
何の前触れもなく聞かれたから少しビックリしたけど、迷うまでもなく首を横に振った俺。ただの思いつきなのか何なのか。彼はそこまで気にしていなかったようで、何でもないように”そっか”とだけ返事をした。そして夕焼けになりかけた窓の外を見て「エイちゃんとツリメもう直ぐ帰って来るよ」と呟く。俺は掛け時計を見て軽く頷いた。そして時計からりっくんに視線を移す。
「そんなに付き合ってるように見える？」
そう尋ねれば、大きく頷いた彼は「なんで？」と頭を
「昨日大学でも聞かれたから」
「あ、そうなんだ」
「多分今ので５回目ぐらい」
「…そんなに？」
「うん」
実際、最近よく聞かれる。会う人会う人に「”Aと付き合ってるの？”」って。Aが居る前で聞かれたこともあった。その度に付き合ってないと返し、そして毎回の如く俺はそれをすごく不思議に思う。Aとは顔さえ合わせれば学校内で話したりもするけど、別にそこまで一緒に行動をしている訳ではないし、まずAの事を異性として見てると言ったことなど一度も無いのだ。本当に見てる見てないというのは別として、やっぱり口に出したことはない。なのに何故、噂される？
初めは彼女が嘘の話を流しているのかなと思っていたけど、Aは俺が風呂に入っていても平気で虫の玩具投げ込んで来るし、とにかくそんな面倒臭い事をするタイプの人間じゃない。
「Aと一緒に居る時のそらちぃって、凄く楽しそうに見える」
机にあったリモコンに手を伸ばし、チャンネルを変えながら呟いたりっくんを見上げた。
「楽しそう…？」
まぁ確かに楽しいけど。そう思いつつも、それが好きと関係するのかとソファーに深くもたれ掛かった。斜め横に座っている彼はテレビを眺めながら「元気な子だもんね」と呟く。
「ほんとだよ。危なっかしいの」
「そうだね」
「なんか小動物みたいで構いたくなる」
「うん」
「無邪気で嫌いになれない」
そこまで言って、俺は彼等が何故付き合っているのかと聞いてくる理由がわかったような気がした。Aって俺にとって、なんだかほっとけない子なんだ。
「Aを見てる時のそらちぃの目の中、キラキラしてるよ」
まるで子供が読む絵本に出てきそうな台詞を言ったりっくん。きっとキラキラしてるのは俺じゃなくてA。こういうのを恋に落ちたっていうんだろうか。まだ俺には分からない。
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ゆき(プロフ) - 久しぶりに神作家さんみつけてとっても嬉しいです！はっぴー！連投失礼しました´`* (2019年1月11日 16時) (
レス) id: 79b287e614 (このIDを非表示/違反報告)
ゆき(プロフ) - 数ページだけみてもわかるおもしろさでどんどん読み進めてしまいました！アバンティーズの会話とか、考え方とか実際言いそうだなぁと思って楽しかったです！(*^^*)とてもアバンティーズを愛してらっしゃることが伝わってきて、心が温まりました！展開もとても面白くて、 (2019年1月11日 16時) (レス) id: 79b287e614 (このIDを非表示/違反報告)
匿名(プロフ) - らぴまる 。さん» 嬉しいです。私もコメントを見るだけで１日ずっとウキウキしてます^ ^ 毎日更新できたらいいなと思いつつも、みんなの言い回しで凄く悩んでいます。こんなこと言わなさそうだなと思ったらまた書き直す…の繰り返しです！でも楽しい！メッセージありがとうございました！ (2017年4月2日 23時) (レス) id: 5ddf379a2d (このIDを非表示/違反報告)
匿名(プロフ) - るなさん» 今までの長編は一人をメインに書いていましたが、今回は四人もいる…(´-`)ということで誰がどのタイミングで何を言うかなぁと考えるのがちょっと大変です。ですが、何故かその中でそら君だけ無駄に使いやすいです！（笑）メッセージありがとうございました！ (2017年4月2日 23時) (レス) id: 5ddf379a2d (このIDを非表示/違反報告)
らぴまる 。(プロフ) - すごく展開が気になる作品ですね！こちらの作品は1日の終わりのたのしみです！ (2017年4月1日 21時) (レス) id: 68c41e6b9c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：匿名
| 作成日時：2017年3月15日 0時
