美味しそう ページ16
side.Eiji
確かにここまで赤い人もそう居ないし、奇抜だもんなと髪を指で梳いた。
「…あんまり俺は派手なの好きじゃないけど、なんていうか周りのウケ良かったから」
「綺麗に染まってるよね」
そう言って、何故か今日空とスペイン料理の店へ行ったことを話し始める彼女。
「美味しかったんだけど、その店が真っ赤でエイジ君みたいだった」
君を思い出したと付け足した。不意を突かれたその台詞に俺は思わず吹き出してしまう。途端に彼女が驚いた顔をした。あまりに目を丸くさせるので不思議に思ってなんだと尋ねれば、彼女は控え目に俺を見上げる。
「エイジ君って笑うんだと思って」
「え？笑うよ」
「笑わないイメージあった」
「割と何でも笑うけど」
そんな風に思われてたのかと、ちょっと意地になってそう言えば彼女は面白いものを見つけた時の子供みたいに無邪気に微笑んだ。
「なら良かった。あたしの第一印象最悪だったろうし、ちょっと怖かったの」
それは空に笑いかける時の笑顔と同じもので、彼女から視線を外しアクセルを踏んだ俺はもう一度「笑うよ」と言う。
「でも初めて会った時、凄い怒ってたから」
「…恥ずかしくなってきた。多分焦ってたんだよ」
「そりゃ焦るよね」
そう言った彼女のミラー越しに見える表情は何故か楽しそう。
「なんか、エイジ君の事勘違いしてたかも」
「あ、エイジでいいよ」
ハンドルを切りながらそう言えば不意に彼女が声を上げて笑い出す。思いがけない爆笑に驚いて彼女の横顔を見た。
「…俺なんか面白いこと言った？」
「いや、それ空も言うの。同じこと言ってると思って、なんか面白くて」
「ああ…名前に”君”付けられるの慣れてなくて気持ち悪いから」
「ちょっと分かるかも。じゃああたしの事もAって呼んでよ」
少し照れくさくて返事に困っていれば、タイミングよく「目的地に着きました」と鳴ったナビの音声に助けられた。
「送ってくれてありがとう」
扉を開けて車から降りた彼女が言う。いいえと返せば、何故か運転席に回ってきたAが窓ガラスをトントンと叩いた。窓を開けると、車内に滑りこんできた冷たい風が頰を撫でる。「これ言うの忘れてた」と髪を耳にかけた彼女。
「エイジの赤、美味しそうな色で凄く好き」
開いた窓越しにそう言われて俺はふと彼女を見上げた。もう一度、ありがとうと笑ったAはスカートをひるがえして家に入っていく。
美味しそうって、なに？
聞きそびれた俺は静かに窓を閉めて、強めにアクセルを踏んだ。
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ゆき(プロフ) - 久しぶりに神作家さんみつけてとっても嬉しいです！はっぴー！連投失礼しました´`* (2019年1月11日 16時) (
レス) id: 79b287e614 (このIDを非表示/違反報告)
ゆき(プロフ) - 数ページだけみてもわかるおもしろさでどんどん読み進めてしまいました！アバンティーズの会話とか、考え方とか実際言いそうだなぁと思って楽しかったです！(*^^*)とてもアバンティーズを愛してらっしゃることが伝わってきて、心が温まりました！展開もとても面白くて、 (2019年1月11日 16時) (レス) id: 79b287e614 (このIDを非表示/違反報告)
匿名(プロフ) - らぴまる 。さん» 嬉しいです。私もコメントを見るだけで１日ずっとウキウキしてます^ ^ 毎日更新できたらいいなと思いつつも、みんなの言い回しで凄く悩んでいます。こんなこと言わなさそうだなと思ったらまた書き直す…の繰り返しです！でも楽しい！メッセージありがとうございました！ (2017年4月2日 23時) (レス) id: 5ddf379a2d (このIDを非表示/違反報告)
匿名(プロフ) - るなさん» 今までの長編は一人をメインに書いていましたが、今回は四人もいる…(´-`)ということで誰がどのタイミングで何を言うかなぁと考えるのがちょっと大変です。ですが、何故かその中でそら君だけ無駄に使いやすいです！（笑）メッセージありがとうございました！ (2017年4月2日 23時) (レス) id: 5ddf379a2d (このIDを非表示/違反報告)
らぴまる 。(プロフ) - すごく展開が気になる作品ですね！こちらの作品は1日の終わりのたのしみです！ (2017年4月1日 21時) (レス) id: 68c41e6b9c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：匿名
| 作成日時：2017年3月15日 0時
