煙草と愛情とレモン02 ページ33
飴を握りしめて「こんなの入ってた」と彼に差し出したが「サグワに貰ったやつ」とだけ言って受け取りはしない。あたしは袋を破って、中にあった黄色の飴を口に放り込んだ。そして彼の膝に手をついて起き上がり、軽く口を尖らせてマホトの唇の端にキスをする。ほんのりと香るレモンの甘い匂い。
「煙草吸うとね、肺が真っ黒になるんだよ」
「それさっき聞いた」
「怖いよね……」
小さくそう言えば、こちらを見下ろした彼はパソコンを閉じてあたしに笑いかける。
「A、レモンの良い匂いする」
「レモンの飴食べてるから」
「俺も欲しい。ちょうだい」
「…さっきいらないって言ったじゃん」
「Aのが欲しい」
「美味しい?」
「…甘い」
全然気分じゃなかったと顔をしかめたマホトを見上げれば、彼はすぐにあたしの顎に手を伸ばす。触れたマホトの指。
「A、口開けて」
ニヤニヤした彼の考えることなどすぐにわかる。分かった上で顔をひそめた。
「…ええ、嘘でしょ。やだぁ」
「いいから」
彼の言う通り口を開けば、上からキスされて先程渡したばかりのキャンディーを口内に押し戻される。こんな事して、あたし達まるで変態みたいだなと思っていれば、こちらを見下ろした彼に「変態のキス」と言われた。
「もう飴はいらない」
そう呟いたマホトは、あたしとキスしたその薄い唇でまた煙草を吸った。彼の肺が煙で充満するところを想像する。灰色の煙がまた部屋へ浮かんだ。
「マホト」
「ん?」
「煙草、いつかやめれそう?」
「Aが嫌ならやめるよ」
そう言って笑った彼は、また煙草味のキスをあたしに落とす。
444人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
匿名(プロフ) - ゆさん» お返事遅くなりました。嬉しいコメントありがとうございます!実は私もお気に入りな、そらクイズです ^ ^ カップル設定はあまり書かないので、たまには仲良しもいいかなと思ってクイズ形式にしました(笑)また近々そらクイズかけたらな〜と妄想を膨らませています (2019年10月29日 0時) (レス) id: ffeb5d68ca (このIDを非表示/違反報告)
ゆ(プロフ) - そらクイズが好きすぎて何回も見に来てしまいます…! (2019年2月4日 10時) (レス) id: 2e24e32ba3 (このIDを非表示/違反報告)
匿名(プロフ) - 渡邊琥覇紅さん» あ、気が合いそうですね!これは少々マニアックかしら…( ゚д゚)と不安だったので、凄く嬉しいです^ ^ 私もジン君はこういう事して笑ってそうと思ったので、書いてて楽しかったです。でも実際されたら速攻別れると思います!メッセージありがとうございました! (2017年4月30日 20時) (レス) id: 5ddf379a2d (このIDを非表示/違反報告)
渡邊琥覇紅(プロフ) - 匿名さん» いっくんをからかうの、凄くよかったです!!読んでて可愛いって思いましたw ジンくんの沈溺プレイ、一番好きです!ジンくんっぽいな、と思いました。更新楽しみにしてます! (2017年4月30日 13時) (レス) id: 8dd5b17f5a (このIDを非表示/違反報告)
匿名(プロフ) - 荒黒#*.mitukiさん» ヒカルさんって書こう書こうと思えば思うほど出てこないのに、たまに天から脳内にエピソードが降ってくるように話を思いつくタイプの人です^ ^あと、ついつい髪の毛いじっちゃうんです(笑)個性的で似合ってますよね^ ^メッセージありがとうございました! (2017年4月25日 17時) (レス) id: 5ddf379a2d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:匿名 | 作成日時:2017年3月1日 22時