煙草と愛情とレモン°Mahoto ページ32
パソコンを見つめる彼の薄い唇から煙が吐き出され、ふんわりと空を舞う。濁った白色は仄暗い部屋に混じり寝室の天井に消えていった。あたしは胡座をかいた彼の膝の上に頭を置いて、揺らめく副流煙を眺める。彼は喫煙者だ。
「……編集終わりそう?」
咥え煙草をしてキーボードを叩くマホトの横顔に聞いた。
「もうちょいかかる」
低いトーンの返事を聞く。さっきもこのやり取りした。時計を見上げれば視界の端に浮き出た喉仏が見えて、その大きな軟骨に手を伸ばす。
「相手してほしーなぁ…とか言って」
ツーっと人差し指で彼の顎のラインをなぞり、喉元、鎖骨、胸まで来たところであたしを一瞥した彼。目が合ったけどすぐに逸らされた。
「くすぐったい」
あたしの指を払い退けたマホトが口を開けば、また煙が浮かんだ。もうすぐ一箱吸い終わる頃か、窓がないせいで寝室の天井に微かな煙が渦巻いているように見える。空気が悪いなと思いつつ、目を伏せてマホトの方へ向くように寝返りを打った。
「…ねぇ、マホト。煙草吸うとさ、肺が真っ黒になるんだよ…」
「それなに情報」
「なんだっけ…小学校の頃に習ったかな……いや、テレビ…?」
分からないと言えば、彼はふんと鼻で笑う。マホトの肺に一度入った煙が体内を駆け巡り唇から出て、あたしにキスをした。鼻を抜けるきついメンソールの香り。彼の唇は少しだけ乾いていた。
「もう真っ黒だよ」
微笑んだマホトの前髪があたしの頰をくすぐり離れていく。
「…たまには煙草以外の味のキスしたい」
「メンソールの味、嫌?」
「味っていうか、匂いがする。煙草の」
「煙草嫌いだっけ」
「別に……」
好きでもない。
彼に借りたジャージのポケットの中には何か硬いものが入っていて、それがさっきから足に当たってて痛い。ポケットの奥に手を突っ込むと中に入っていたのは何故か飴玉。
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匿名(プロフ) - ゆさん» お返事遅くなりました。嬉しいコメントありがとうございます!実は私もお気に入りな、そらクイズです ^ ^ カップル設定はあまり書かないので、たまには仲良しもいいかなと思ってクイズ形式にしました(笑)また近々そらクイズかけたらな〜と妄想を膨らませています (2019年10月29日 0時) (レス) id: ffeb5d68ca (このIDを非表示/違反報告)
ゆ(プロフ) - そらクイズが好きすぎて何回も見に来てしまいます…! (2019年2月4日 10時) (レス) id: 2e24e32ba3 (このIDを非表示/違反報告)
匿名(プロフ) - 渡邊琥覇紅さん» あ、気が合いそうですね!これは少々マニアックかしら…( ゚д゚)と不安だったので、凄く嬉しいです^ ^ 私もジン君はこういう事して笑ってそうと思ったので、書いてて楽しかったです。でも実際されたら速攻別れると思います!メッセージありがとうございました! (2017年4月30日 20時) (レス) id: 5ddf379a2d (このIDを非表示/違反報告)
渡邊琥覇紅(プロフ) - 匿名さん» いっくんをからかうの、凄くよかったです!!読んでて可愛いって思いましたw ジンくんの沈溺プレイ、一番好きです!ジンくんっぽいな、と思いました。更新楽しみにしてます! (2017年4月30日 13時) (レス) id: 8dd5b17f5a (このIDを非表示/違反報告)
匿名(プロフ) - 荒黒#*.mitukiさん» ヒカルさんって書こう書こうと思えば思うほど出てこないのに、たまに天から脳内にエピソードが降ってくるように話を思いつくタイプの人です^ ^あと、ついつい髪の毛いじっちゃうんです(笑)個性的で似合ってますよね^ ^メッセージありがとうございました! (2017年4月25日 17時) (レス) id: 5ddf379a2d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:匿名 | 作成日時:2017年3月1日 22時