困らせたい°Kanta ページ30
「没収」
背中から聞こえた声に、あたしはピタリと動きを止めた。そーっと振り返れば白衣を着た先生が仁王立ちしてる。
「なに？」
「何じゃなくて、携帯」
怒った顔をしながら「授業中に触るな」とあたしに向かって手を差し出した彼。隣に座っていたトミーへ目をやれば、彼は”やっちゃったね”みたいな感じで首をすくめる。唇を尖らせたあたしはもう一度彼を見上げた。
「カンタ君…」
「じゃなくて、先生」
「佐藤先生……」
携帯を強く握り締めたあたしはニコリと笑う。
「見逃して…」
「見逃さない」
「お願いだから」
今度はかわいこぶって首を傾げてみたけど、彼の口元はピクリともしない。
「絶対見逃さない」
「……………」
早くと急かした彼に、ふくれっ面で両手に握っていた携帯を手渡す。受け取った先生は「放課後職員室に取りに来い」と無表情で言った。白衣のポケットに吸い込まれた自分の携帯を目で追う。
「……呑まれた」
呟いて、あたしは彼の背中にべぇと舌を出した。
＊
「今月に入って４回目」
コーヒーの匂いが充満した職員室であたしはカンタ君にそう言われる。彼の机の上にはあたしのスマートフォンが置かれてて、その隣には名簿やテストプリントが置いてあった。綺麗に並ぶ教科書や専門書の間に”上手な生徒の褒め方・叱り方２”という本があり、やっぱり真面目な人だなと改めて思う。
「先生もうそろそろ恥ずかしい」
呆れたというように頭を振った彼にあたしは無言の瞬きを返す。
「Aが職員室に来て俺の前に立つと、他の先生達がこっちを見る」
「うん」
「また佐藤先生の生徒さんですか〜、って言われるんだぞ」
彼が厭そうに言うので職員室を見渡した。みんな自分の作業に夢中だけど、確かに教頭先生辺りはこちらを気にしてるようにも見える。あたしは直ぐに彼を見下ろした。
「嫌われてるんじゃないの」
「おい、本当にそうだったらどうするんだよ……じゃなくて！携帯」
トン！と机にある携帯を指で叩いた先生は「なんで授業中に出したの？」って先週没収された時と同じ質問をしてくる。それを待ってた。
「先生に怒られたかったの」
ニヤニヤしながら言えば、彼は怪訝な顔をする。予想通りの反応だった。やっぱり真面目過ぎて通じ無いらしい。真顔に戻して「嘘です」と緩んでいた口元を締めた。
「ちゃんと答えて」
間髪入れずに言われた。あたしは閉じていた口を開いて、次は何の感情もなく声を上げる。
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匿名(プロフ) - ゆさん» お返事遅くなりました。嬉しいコメントありがとうございます！実は私もお気に入りな、そらクイズです ^ ^ カップル設定はあまり書かないので、たまには仲良しもいいかなと思ってクイズ形式にしました（笑）また近々そらクイズかけたらな〜と妄想を膨らませています (2019年10月29日 0時) (
レス) id: ffeb5d68ca (このIDを非表示/違反報告)
ゆ(プロフ) - そらクイズが好きすぎて何回も見に来てしまいます…！ (2019年2月4日 10時) (レス) id: 2e24e32ba3 (このIDを非表示/違反報告)
匿名(プロフ) - 渡邊琥覇紅さん» あ、気が合いそうですね！これは少々マニアックかしら…( ﾟдﾟ)と不安だったので、凄く嬉しいです^ ^ 私もジン君はこういう事して笑ってそうと思ったので、書いてて楽しかったです。でも実際されたら速攻別れると思います！メッセージありがとうございました！ (2017年4月30日 20時) (レス) id: 5ddf379a2d (このIDを非表示/違反報告)
渡邊琥覇紅(プロフ) - 匿名さん» いっくんをからかうの、凄くよかったです!!読んでて可愛いって思いましたw ジンくんの沈溺プレイ、一番好きです!ジンくんっぽいな、と思いました。更新楽しみにしてます！ (2017年4月30日 13時) (レス) id: 8dd5b17f5a (このIDを非表示/違反報告)
匿名(プロフ) - 荒黒#*.ｍｉｔｕｋｉさん» ヒカルさんって書こう書こうと思えば思うほど出てこないのに、たまに天から脳内にエピソードが降ってくるように話を思いつくタイプの人です^ ^あと、ついつい髪の毛いじっちゃうんです（笑）個性的で似合ってますよね^ ^メッセージありがとうございました！ (2017年4月25日 17時) (レス) id: 5ddf379a2d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：匿名
| 作成日時：2017年3月1日 22時
