勿忘草に愛を込めて°Jiro ページ15
大好きな先輩のジロー君が高校を卒業して海外に行っちゃう、なのに、あたしは意地を張って最後のサヨナラを言えずにいた。海外に行くと聞いたのは何故か本人からではなくジョージ君からで、それに対して腹を立てていたし、本当は内緒にされてたことが悲しかったから、顔も合わせてやるかと思ってた。
思ってたけど、卒業式の当日になるとやはり彼を探してしまう。沢山の花束を抱えて、集まる生徒の真ん中で笑うジロー君を見つけた。三年生どころか靴の色は様々で、いろんな学年の子が彼を囲って泣いてる。
「先輩、ボタン下さい!」なんて駆け寄って行くクラスメイトの女の子達を目で追った。みんなに笑顔を返すそんなジロー君の制服には既にボタンが一つも無くて、流石人気者は違うなとあたしは唇を尖らせる。
「ジロー君どこ行くの?」
「シアトルだよ」
「お土産買ってきてね」
「あはは、忘れちゃうかも」
他の人のは聞こえないのに、彼等の会話だけが遠くにいても聞こえてくる。
嗚呼、どうして意地を張ってしまうんだろう。明日には日本を発ってしまうと知っていても、今更サヨナラなんて言えない。ただ悔しさだけが込み上げてきて、ふと思い出すのは彼に教えてもらった
小さな青い勿忘草の花束を抱えたあたしは、女の子達に囲まれるジロー君をただ眺めた。せめてサヨナラぐらい言いたい…そう思いつつも踏み出せないでいると、ふと肩を叩かれる。後ろを振り返れば、そこには同じく卒業生のジョージ君が笑顔で立ってる。立ち上がったあたしも笑顔を返した。
「卒業おめでとう、ジョージ君!」
「ありがとう。Aはジローのとこ行かないの?」
「…いや、女の子沢山集まってるし、ちょっと入りくいなと思って」
あたしの言葉にそうかなと彼等を見たジョージ君。
「でもこんなとこにいたら多分ジロー気付かないよ」
「うん。でも、」
言いかけた台詞を遮ったのは彼の腹から出した大声だった。
「ジローーーー!Aちゃんここにいるよーーー!」
その大胆さに思わずギョッとした。彼らしいと言えばらしいが、まだ心の準備が。あたしを見つけたジロー君が満面の笑みでこちらに駆け寄って来る。心臓が張り裂けそうになった時「頑張れ」そう言った彼に背中を叩かれた。
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匿名(プロフ) - ゆさん» お返事遅くなりました。嬉しいコメントありがとうございます!実は私もお気に入りな、そらクイズです ^ ^ カップル設定はあまり書かないので、たまには仲良しもいいかなと思ってクイズ形式にしました(笑)また近々そらクイズかけたらな〜と妄想を膨らませています (2019年10月29日 0時) (レス) id: ffeb5d68ca (このIDを非表示/違反報告)
ゆ(プロフ) - そらクイズが好きすぎて何回も見に来てしまいます…! (2019年2月4日 10時) (レス) id: 2e24e32ba3 (このIDを非表示/違反報告)
匿名(プロフ) - 渡邊琥覇紅さん» あ、気が合いそうですね!これは少々マニアックかしら…( ゚д゚)と不安だったので、凄く嬉しいです^ ^ 私もジン君はこういう事して笑ってそうと思ったので、書いてて楽しかったです。でも実際されたら速攻別れると思います!メッセージありがとうございました! (2017年4月30日 20時) (レス) id: 5ddf379a2d (このIDを非表示/違反報告)
渡邊琥覇紅(プロフ) - 匿名さん» いっくんをからかうの、凄くよかったです!!読んでて可愛いって思いましたw ジンくんの沈溺プレイ、一番好きです!ジンくんっぽいな、と思いました。更新楽しみにしてます! (2017年4月30日 13時) (レス) id: 8dd5b17f5a (このIDを非表示/違反報告)
匿名(プロフ) - 荒黒#*.mitukiさん» ヒカルさんって書こう書こうと思えば思うほど出てこないのに、たまに天から脳内にエピソードが降ってくるように話を思いつくタイプの人です^ ^あと、ついつい髪の毛いじっちゃうんです(笑)個性的で似合ってますよね^ ^メッセージありがとうございました! (2017年4月25日 17時) (レス) id: 5ddf379a2d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:匿名 | 作成日時:2017年3月1日 22時