君も犬になってもいいよ【東海オンエア】

りょう、知らぬが仏 ページ9

Aねぇねぇ

一日の終わりを実感する風呂上がり。しばらく熱を冷ましたあと髪を乾かそうと洗面所に向かおうとした時、Aからメッセージが来た。珍しいなと思いつつもトーク画面を開く。

Aからライン送ってくるの珍しいね
どうしたの?
Aそう?
今日流れ星見たんだよ⭐️
めっちゃ綺麗だった
すごいじゃん
願い事した?
Aあー
急だったからしてない
あれって三回唱えないとダメらしいよ
A考える間も無く消えたよ
二秒ぐらいだった

その返事だけで、空を見上げながら流れ星を見つけて慌てる彼女の姿が想像出来た。はにかみながら返事を打ち込む。

てかAの家から星見えるんだね
Aいや、河川敷にいたの

俺はその文章を流し読み、もう一度戻って読み直した。ふぅんと思いつつも返信を送る。

そういえばA、コンビニに居たんでしょ?
Aうん
ノート無くなったから
としみつから聞いた?
違うよ。先輩から聞いた
レジにいた女の人
Aその人が言ってたの?
そうだよ
としみつと話してたの見て、Aだと思ったって言ってたよ
いたなら話しかけてくれればよかったのに

としみつと別れてすぐ、先輩からラインが来た。"福尾くんの友達来たよ"って。なんで友達ぐらいでって思ったけど、俺が何度か新しいマネージャーが入ったとAの話を彼女にしていたから心当たりがあったらしい。

なんかAに悪いことしたかなって言ってたけど
なんだろう
Aしらない
そっか
朝練出なきゃだしもう寝る
ほんとだね
おやすみ〜

最後の挨拶に既読はつかなかった。先輩とAがなんの話をしたのかは聞いていないから知らない。でも二人の共通の会話と言えば陸上ぐらいだ。また明日学校で会った時にでも聞こうと、俺はあくびまじりにスマホを置いて洗面所へ向かった。

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