犬、運命の一ヶ月 ページ3
恥ずかしすぎる暴露を聞き終えた彼は、考え込むような仕草をしたまま深く俯いた。何かを悩む彼をあたしは覗き込む。
「…早い話が、あたしの(仮)彼氏になってくださいと言うことなんですけど」
こんな事を自分で口走りながら、"何こいつ"とあたしが一番思ってるので、誰も何も言わないでほしい。
「三ヶ月………！いや、一ヶ月でも良いです！あたしの彼氏のふりをしてください…」
プライドも誇りもへったくれも無いこんな台詞、人生のどこで使うんだランキング３位以内に入る事必須。そしてこんな取引の返事も「ごめんなさい」ランキング１位レベル。
「ごめんね」
案の定、彼はそう言った。
「無理です。謝るなら彼氏になってください」
あたしはそう簡単には引き下がらない。
「俺は悪いと思って謝ってるんじゃなくて、協力出来なくてごめんねって謝罪してるんだよ」
「もう少し考えて…」
「そう言われても」
苦笑いをした彼は至極真っ当だ。だが学校生活がかかっているあたしは、ここで諦める訳にもいかないので食い下がる。
「なんでも言うこと聞くから」
「何も聞いて欲しいことなんてない」
「召使でも下僕でもいい。なんなら犬でもいい！」
「……困ったなぁ」
本当に、本当に困っているらしい。彼は眉尻を下げて迷子の子供みたく今の状況に戸惑っている。あたしは彼がキツく言ってこないことを良いことに、押せ押せで強引に契約を取ろうとしてる。
「それならこうしない？」
ふっと彼がひらめいたように笑って手をポンと叩く。
「俺を彼氏だって言うのは君の自由だから、そうしてもいい」
「…えっ、彼氏のふりしてくれるってこと？」
「ゲームをしよう。Aちゃんの言った一ヶ月が約束期間」
眉をひそめたあたしの手をスッと取った彼。そしてニッコリと笑う。心臓が軽く跳ねた。並びのいい白い歯が上がった口角からちらりと覗く。
「約束する一ヶ月以内に、君のことを好きだと俺に言わせてみなよ」
それならお互いに嘘は無いだろうと彼は目を細めた。
「だけどもし俺が君のことを好きにならなかったら、その時は真実を話してもらう」
「いや、話すのはちょっと…」
「話せないのなら約束は出来ない」
「ええ、それは、困る」
「ならこの話は無し。嘘に俺が得することって一つもないし」
ごもっともだった。あたしは何も言えない。
「でもちょっと楽しそうだから、乗ってみる」
そう言った彼は、悪戯っ子みたくあたしに笑った。あ、選ぶ人間違ったかもなあ…と微かに悟った。
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匿名(プロフ) - エルタソさん» お返事遅くなりました。こちらこそコメントする事への高いハードルを越えてメッセージを残して下さり、私へのキュンキュンをありがとうございます！見てくださるだけで充分に、本当に有難く支えられている事を実感しております！また是非、覗きに来て頂ければ幸いです。 (2021年1月14日 2時) (
レス) id: c0fa65fbb4 (このIDを非表示/違反報告)
エルタソ(プロフ) - 初めまして、最近読み始めたのですがとてもキュンキュンしています！どうにもこの気持ちをなかなか言葉にしにくいのですが、どうしてもキュンキュンしたことを伝えたくてコメントを書かせていただきました！これからもご自身の無理のない範囲で更新頑張ってください (2020年11月19日 23時) (レス) id: e58e659101 (このIDを非表示/違反報告)
匿名(プロフ) - ヒロさん» 度々メッセージくださり嬉しいです！ありがとうございます。連打機能あれば素敵ですね！ぽてぽて歩くてつや君の良さが伝わればいいなと思って捩じ込みましたが、共感していただき私も胸が高鳴っています。。これからもヒロさんの小さな楽しみになれるよう頑張りますね！ (2020年11月12日 22時) (レス) id: c0fa65fbb4 (このIDを非表示/違反報告)
ヒロ(プロフ) - 今日の更新が素晴らしすぎて☆連打したのに、評価10点じゃ足りないしそもそも評価済みでした！！！きゅんきゅんやばいし個人的にぽてぽて歩くてつやがツボすぎました…。何度もコメントしてすみません…ただこの胸の高鳴りを伝えたくて……返信不要ですorz (2020年11月11日 23時) (レス) id: e6bb449d2f (このIDを非表示/違反報告)
匿名(プロフ) - こゆみさん» てつや君はお兄さんというよりも私の中では弟っぽいイメージの方なので、中々男らしさを発揮できずにいます（笑）今後かっこいいてつや君が顔を覗かせる時が来るのか、来ないのか…最後まで見守っていただければ幸いです！嬉しいメッセージありがとうございました！ (2020年11月10日 0時) (レス) id: c0fa65fbb4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：匿名
| 作成日時：2020年9月22日 16時
