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流されるな、あたしのペースで、あたしのプレーを。冷静を保とうとする思考回路の中に、女の子達の黄色い声が通過する。
呼吸を整えてもう一度シュートを打つが、もはやゴールにすら届かなかった。
「……………」
あたしは彼等の方を見ることなくボールを拾いにいく。女バスの顧問にもいつも言われるのだ。Aは一度失敗するとそこから体が強張るから意識してリラックスしろと。
だけどそう言われると余計に緊張してリラックスどころじゃなくなる。ボールを持つ手が震え、ゴールを狙い座貯める視線がぶれぶれになってしまう。この波に飲まれると後から落ち込むことになる。そうならないように一回休もうかとボールを下ろそうと時、あたしの腕にすぅと手が添えられた。
「肩に力入り過ぎ」
「……！」
突然右側に現れたともやんの気配と共に、彼の熱を帯びた体温が肌を伝う。
「あと打点高い。もっと下からでもええよ」
「うん……」
あたしの心臓がぎゅうと締まり、一気に視界がクリアになった。汗と湿度のおかげで彼のシャンプーか柔軟剤か、そこに男の子を混ぜたみたいな香りが混ざり直に鼻腔を直撃する。
「ハイ、呼吸整えて」
「…………」
耳元をつぅと掠めた彼の低い声。何度か吐いて吸ってをしたあたしはただ真っ直ぐゴールだけを見た。ともやんの指があたしの腕から離れる。
「Aならいける」
その言葉と共に手からボールを放つ。綺麗な放物線を描いたボールは、何の抵抗を受けることなくストンとゴールに入った。
「あ！決まった！」
まるで親に報告するみたく彼を振り返ったあたし。ともやんも同じように笑っていて「俺がおらへん時はいつも決まるんやろ？」と口角を上げる。友達から聞いたのだろうか、気まずくなりつつも頷いた。
「てかさっきシュート決めたら〜みたいなやつ、何言いかけてたん？」
床を転がっていくボールを拾いに行った彼があたしに聞いてくる。さっきのやつ聞こえてたのか。なんだか嬉しくなってそのままの勢いで残りを言おうとして、あたしはともやんを今一度見た。
「んー……一発で決まったらデート、行こうって、言いたかった…だけ」
「ええよ」
「え？」
「だって決まったやん、一発で」
あたしはボールを持っていた時の手の形のままその場に立ち尽くす。思考が追いつかず目を丸くしてともやんを見つめていれば、彼はふふと小さく笑った。
「まぁ決まってなくても理由つけて行ったけどな」
無邪気に笑った彼の言葉に、あたしのシュートはこれからもとんでもない方向に飛んでいくのだろうなと思った。
君はすでに誰かのもの°doba→←このシュートを決めたら°tomoyan
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名無し85578号(プロフ) - どばししょうのお話好きすぎます（т-т）そもそも書く人が少ないのですごい嬉しいです（т-т） (4月21日 3時) (
レス) id: cb5a427560 (このIDを非表示/違反報告)
匿名(プロフ) - りを。さん» コメントありがとうございます！面白いと言っていただけて嬉しいです。としみつくんにはお話の中でギターを持たせがちな私ですが、音楽以外のお話も面白そうですよね…！色々考えてみます^ ^ また是非覗きにきてくださいね！ (2022年1月10日 1時) (レス) id: c0fa65fbb4 (このIDを非表示/違反報告)
りを。 - とっても面白いです♪ としみつのお話もっとみたいです！！ (2022年1月7日 18時) (レス) id: b34e0ddef0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：匿名
| 作成日時：2021年12月25日 23時
