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授業が終わるまで、もはや終わってからも彼はスヤスヤと机で眠ってた。次の時間割が移動教室でも彼は起きない。みんなも面白がって珠希也のことを起こそうとしない。
「面白いからそのままにしとこう」
そう言ってクラスメイト達は次の授業の為に教室から出て行く。あたしもみんなと同じように部屋を出ようとして、扉の前で足を止めた。いつの間に止んだのか、教室には雨上がりの空から突き抜ける光が窓から入り込んでいる。あたしは廊下に目をやり、人の有無を確認した。そして机に伏せる彼の所にゆらりと近寄る。
「珠希也、もうみんな行ったよ」
頭上から声を掛けるが珠希也は少しも反応しない。聞こえるか聞こえないかぐらいの小さな寝息と、同じテンポで上下する彼の広い背中を見下ろす。
「授業始まっちゃうよ、起きて！」
言いながら机を強めに揺らした。眉をひそめた彼は籠った唸り声を上げただけで起きる気配はない。
「また担任に怒られるよ。あの先生いつも話長いし、めんどくさいって言うじゃん」
廊下でサッカーどころか、この前も授業サボって怒られて、しょーもない悪戯して怒られて、下らないこと言って怒られて。それで担任が凄い速さで珠希也を追いかけるのが当たり前の今日この頃。もはやあたしとより、担任と話してる時間の方が長いんじゃない。
「ねー、もう置いてくからね」
「ん…………、うぅん……」
意識が朦朧としたような返事をした彼。溜息をついたあたしは持っていた教科書を自分の机の上に置いた。チラリと廊下に目をやってから、彼の前の席に座る。そして静かな彼の寝顔を覗き込んだ。
「怒られても知らないよ。ずっと、寝てればいいんだよ…」
小さく呟いたあたしは珠希也の前髪を指で梳いて、彼と同じように机に伏せる。暴れてみんなの注目を集める珠希也は好きじゃないけど、大人しく眠る珠希也は可愛くて好き。ずっとこれならいいのに。
「本当に寝ててもいい？」
ハッキリと聞こえた声に、あたしは大きく肩を揺らす。勢いよく顔を上げれば、机に寝そべる彼が組んだ腕の隙間からあたしを覗いていた。
「う……わっ」
驚いて椅子を引こうとしたあたし。そんなあたしに目を細めた珠希也が「行くなよ」って強く手を掴んだ。肌にきつく食い込む指、途端に頰が一気に熱くなってくる。
「……いかないよ」
慌てたあたしの口から出た台詞は、本音なのに嘘みたいだった。
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名無し85578号(プロフ) - どばししょうのお話好きすぎます（т-т）そもそも書く人が少ないのですごい嬉しいです（т-т） (4月21日 3時) (
レス) id: cb5a427560 (このIDを非表示/違反報告)
匿名(プロフ) - りを。さん» コメントありがとうございます！面白いと言っていただけて嬉しいです。としみつくんにはお話の中でギターを持たせがちな私ですが、音楽以外のお話も面白そうですよね…！色々考えてみます^ ^ また是非覗きにきてくださいね！ (2022年1月10日 1時) (レス) id: c0fa65fbb4 (このIDを非表示/違反報告)
りを。 - とっても面白いです♪ としみつのお話もっとみたいです！！ (2022年1月7日 18時) (レス) id: b34e0ddef0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：匿名
| 作成日時：2021年12月25日 23時
