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「退けよ」
すぅと冷たい空気を裂くような低くハッキリとした声がしたと思えば、真っ黒でデカい背中があたしの視界を埋める。ふんわりと香る煙草と香水の匂いで、顔を見なくてもすぐに誰なのか分かった。自分達よりももっと大きな人間が現れたことにビビったのか、男達は咄嗟にあたしから離れる。
「…な、なんだ本当に待ち合わせしてたのかよ」
「行こうぜ…！」
相当驚いたらしい彼らは、蛇に睨まれた蛙のように小さくなってそそくさと暗闇の中に逃げて行った。
「ひゅうが！」
あたしは大きなそれが振り返るよりも早くそう叫んで、その背中に飛びついた。
「いてぇよ」
笑いながら振り返った彼は、あたしの頭にポンと手を置く。
「変な男についてっちゃダメ」
「ついていくかバーカ」
「ついてかなくてもさ、Aはちっちゃくて可愛いから、すぐ悪そうな奴に連れていかれそうになっちゃう」
ひゅうがはすぐに、こんな風にあたしを小さな子供扱いする。むくれた調子で言いながら髪を指で梳いた彼にあたしは微笑んだ。
「ひゅうががデカいだけだよ」
「…ああ、デカくて悪い奴かもよ？」
「ひゅうがって悪いの？」
「そうかもしれない」
「あはは、そうなんだ」
なら一緒に悪いことしようよ？そっと呟いたあたしを見た彼は、心の奥底から笑顔を搾り出すように目を細めて笑う。
「それめっちゃいいね」
そう言ってひゅうがはあたしの肩に手を回した。そして抱き寄せ、いつもするみたくあたしの髪に顔を
「…会いたかった」
さっき、男達を蹴散らす為に使った喉と同じものとは思えないぐらい小さな声で、彼はそう囁く。
「あたしも」
目が回るほど忙しい彼の、少しの隙間を埋める時間が愛おしい。冷たくて透き通った深夜の空気に、笑い合うあたし達は混ざり溶けてゆく。
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名無し85578号(プロフ) - どばししょうのお話好きすぎます（т-т）そもそも書く人が少ないのですごい嬉しいです（т-т） (4月21日 3時) (
レス) id: cb5a427560 (このIDを非表示/違反報告)
匿名(プロフ) - りを。さん» コメントありがとうございます！面白いと言っていただけて嬉しいです。としみつくんにはお話の中でギターを持たせがちな私ですが、音楽以外のお話も面白そうですよね…！色々考えてみます^ ^ また是非覗きにきてくださいね！ (2022年1月10日 1時) (レス) id: c0fa65fbb4 (このIDを非表示/違反報告)
りを。 - とっても面白いです♪ としみつのお話もっとみたいです！！ (2022年1月7日 18時) (レス) id: b34e0ddef0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：匿名
| 作成日時：2021年12月25日 23時
