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「おはよう、A」
毎日家の前で待ち合わせをし、真っ先に笑顔で挨拶をしてくれるのはあたしの大好きな彼氏だ。微笑む彼の腕に体重をかけて笑えば、踵を踏み潰したローファーを鳴らして出てきたお兄ちゃんに腕を引かれ彼からお兄ちゃんの方へ引寄せられた。
「うざったい。朝から色気付くなよ」
毎朝この調子だが、あたしの彼氏も毎朝めげずに笑顔を返す。
「おはようございます、先輩」
一応こんなでも、お兄ちゃんは彼とあたしと同じ学校で学年が二つ上の先輩なのだ。しかも彼とは部活も同じ。完璧なスマイルが逆に嫌味っぽい彼氏にお兄ちゃんは用意周到に悪態をつく。
「うるせー、毎朝待ち伏せしてんじゃねー」
「お兄ちゃん絡まないでって」
「いいからもっとこっち来いA」
「…も〜、あたしにも絡まないでよぉ」
あたしの肩を抱いて、子供の時の癖が今でも抜けず手を繋ごうとしてきたお兄ちゃんを振り払ったあたしは呆れ顔。結局右側には彼氏、左側にはお兄ちゃん、と言うなんともシュールな事になったあたしは、朝から親みたいな気持ちで道路を歩く。
「先輩は彼女さんと学校行かないんですか？」
彼の言葉に目を細めたお兄ちゃんはあたしの肘を突いて耳元で囁いた。それにあたしは溜息をついて、いつも通り彼氏とお兄ちゃんの間で伝言ゲームをする。
「もう少しで合流するって」
「あ、おい。そんなこと言ってねぇだろ」
「じゃあお兄ちゃんが自分で話しなよ！」
あたしの言葉にお兄ちゃんが不良娘とだけボヤいた。それを隣で見ていた彼氏があたしの手を強く引き、お兄ちゃんの方を見て言う。
「合流して下さいよ。先輩邪魔です」
「どっちが邪魔なんだよ、クソ後輩」
「どう考えても先輩ですね」
フンと鼻で笑う彼氏と、腕を捲ったお兄ちゃんとの間にバチバチと火花が散った。
「ねぇもう二人とも。恥ずかしいしやめてよ…」
「こいつ後輩のくせに部活でも可愛くねぇんだよなぁ」
「先輩は随分と可愛いですね。その年になっても妹離れが出来ないなんて」
お得意の嫌味にお兄ちゃんの顔が歪む。
「本当に口が達者な奴だな、オメーは」
彼氏の頭をペシンと叩いたお兄ちゃんは、渋々とあたし達から離れると、すぐ近くにいた同学年の女の子に声をかけていた。それを横目で見ていた彼が小さな声で笑う。
「先輩って、ほんとにAのこと好きだな」
「うん。ウザい時もあるけど基本嬉しい」
「俺も負けねぇように頑張る」
そう言ってあたしの頬に軽いキスをしてきた彼に、遠くに居たお兄ちゃんの怒号が飛んできたのは言うまでもない。
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名無し85578号(プロフ) - どばししょうのお話好きすぎます（т-т）そもそも書く人が少ないのですごい嬉しいです（т-т） (4月21日 3時) (
レス) id: cb5a427560 (このIDを非表示/違反報告)
匿名(プロフ) - りを。さん» コメントありがとうございます！面白いと言っていただけて嬉しいです。としみつくんにはお話の中でギターを持たせがちな私ですが、音楽以外のお話も面白そうですよね…！色々考えてみます^ ^ また是非覗きにきてくださいね！ (2022年1月10日 1時) (レス) id: c0fa65fbb4 (このIDを非表示/違反報告)
りを。 - とっても面白いです♪ としみつのお話もっとみたいです！！ (2022年1月7日 18時) (レス) id: b34e0ddef0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：匿名
| 作成日時：2021年12月25日 23時
