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私は誰05 ページ10

彼等は必死に喋るあたしの話を、何か、どこかであった夢の話でも聞いているかのように不可解だと言った風に聞いていた。だからそんな顔しないで!と思いつつも、あたしは冷静を保とうと今一度さっきの出来事を簡潔に彼等に話す。

「だから、森にあった墓地であたし達は迷って。そこにりょうが来たの」

「待って。まず、墓地ってなに?」

あたしの話に"それ"を確認してきた虫さん。あたしの隣でしばらく放心状態だったてつやが、青白い顔で彼に尋ねる。

「なにって、なに…?」

「僕らが通った時、墓地なんて無かったよ」

「あったって!」

「としみつとしばゆーは、見た?」

ゆめまるが二人に尋ねる。だけど二人は同時に頭を左右に振った。あたしとてつや以外のみんなに確認したけど、誰もそんなものは通るどころか見てすらいなかったのだ。
先程から首を傾げてばかりの彼等の話によると、みんなは無事にゴールしたのにあたし達だけが来なかったので不思議に思って探しに来たらしい。

「俺らが通った道には二人共居なくて、コースから全然離れた場所に居たんだよ」

ゆめまるの言葉に放心したまま黙り込むてつや。途端に自分の膝がガクガクと震え出す。それを必死で堪えれば、恐怖を超えて妙な笑いが芽生えてくる。口角が徐々に引きつってきて、あたしは重たい唇を開いた。

「でも…本当に、りょうが来たの」

震える唇でその"事実"を話す。でもりょうは静かに首を左右に振るだけ。

「俺はずっとみんなと居たよ…」

それを見たメンバー達もお互いを見て、気まずそうに相槌を打ち合う。

「おかしいって、だって…そんなの」

記憶を確認する自分の言葉にスーッと頭の先から足先まで寒気がした。誰でもいいからドッキリだと言って、じゃないと。

森にあるはずのない墓地で迷ったあたし達を迎えにきたあの人。


「あれは誰なの?」

かわいいひと°Zawa→←私は誰04



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設定タグ:東海オンエア , YouTuber , ワタナベマホト   
作品ジャンル:恋愛
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匿名(プロフ) - Mrs.ぱんぷきんさん» リクエストありがとうございます!亀さんペースですが、ゆるゆる執筆中ですので気長にお待ち頂ければと思います。 (2019年8月13日 11時) (レス) id: 5ddf379a2d (このIDを非表示/違反報告)
Mrs.ぱんぷきん(プロフ) - てつやさんのお話がもっと読みたいです!!!お時間がある時で全然大丈夫なので、ぜひともお願いします! (2019年7月31日 9時) (レス) id: 318cc8d8b4 (このIDを非表示/違反報告)
匿名(プロフ) - あゆみさん» ご報告ありがとうございます。一応全文確認してみたのですが、どこでスルーしているのか確認出来ずです…。タイミングが有ればで良いので、どのお話かだけ教えて頂けると凄く助かります。よろしくお願い致します (´._.`) (2018年8月20日 17時) (レス) id: 5ddf379a2d (このIDを非表示/違反報告)
匿名(プロフ) - らいさん» お返事遅くなりました。時間が空きながらの更新ですが、それでも楽しみにしてくれる方々にとても感謝しております。ご要望にお応えできるかは分かりませんが、なるべく優先して考えたいと思います^ ^ コメントありがとうございました! (2018年8月20日 17時) (レス) id: 5ddf379a2d (このIDを非表示/違反報告)
あゆみ - goziga aruyo----- (2018年8月19日 9時) (レス) id: a08ea1484b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:匿名 | 作成日時:2018年7月23日 0時

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