イジワルしちゃう02 ページ34
「しつれいします」
名探偵への一歩を踏み出そうとしていた時、従業員がビールを三つ持って個室に入ってくる。その瞬間、てっちゃんのスマホが鳴った。画面を見るなりスマホを持ってそそくさと個室を出た彼。とん、とビールが机に並べられて従業員も部屋を出る。呆気に取られたあたし、彼の背中を見送ったざわ君が目を細める。
「女だ」
「違うよ。…ゆめまるとかじゃない」
「なんでゆめまるの電話で部屋出るのさ」
「…うるさいから出たんじゃん」
「普通あんなそそくさと出る?ゆめまるで」
「じゃあゆめまる以外の男!」
「彼女出来たんだよ」
ガーーーーーーン!!ざわ君の一言に、あたしの脳内で大きめの音が流れた。気力を全て奪い取られ、へなへなと机に凭れ掛かったあたしは脆弱に呟く。
「…なんでそういうことばっかり言うの」
意地悪しないでよ。本当にそうなのではないかと今にも泣きそうになってきつく唇を噛んだ時、ふっとざわ君が口を開く。
「好きだから、意地悪したいの」
理解をするのが少し遅れた。そして驚きで言葉を忘れる。机から顔を上げて彼を見た。笑ってる。店内に流れるゆったりとしたBGMが耳の奥を行き来して、不意を突かれ呼吸を止めてたあたしは長いこと彼を見てたと思う。
「てつやより、僕の方がめっちゃ良い男だよ。いつも良い匂いするし、頭も良い」
だけどあたしは何も言えない。まだそれを知らないから、言葉が出てこない。
「Aはそれだけ覚えてて」
「いや……でも、あたしはご存知の通り……」
てっちゃんが好きなんですけれども。
「余裕で好きにさせるよ、僕を」
目尻を下げた彼はニコリと人懐っこく微笑んだ。その自信に満ちた笑顔。てっちゃんに狙ってる女の子が居るって聞いた時よりも、もっと激しくあたしの心臓は鳴った。
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匿名(プロフ) - Mrs.ぱんぷきんさん» リクエストありがとうございます!亀さんペースですが、ゆるゆる執筆中ですので気長にお待ち頂ければと思います。 (2019年8月13日 11時) (レス) id: 5ddf379a2d (このIDを非表示/違反報告)
Mrs.ぱんぷきん(プロフ) - てつやさんのお話がもっと読みたいです!!!お時間がある時で全然大丈夫なので、ぜひともお願いします! (2019年7月31日 9時) (レス) id: 318cc8d8b4 (このIDを非表示/違反報告)
匿名(プロフ) - あゆみさん» ご報告ありがとうございます。一応全文確認してみたのですが、どこでスルーしているのか確認出来ずです…。タイミングが有ればで良いので、どのお話かだけ教えて頂けると凄く助かります。よろしくお願い致します (´._.`) (2018年8月20日 17時) (レス) id: 5ddf379a2d (このIDを非表示/違反報告)
匿名(プロフ) - らいさん» お返事遅くなりました。時間が空きながらの更新ですが、それでも楽しみにしてくれる方々にとても感謝しております。ご要望にお応えできるかは分かりませんが、なるべく優先して考えたいと思います^ ^ コメントありがとうございました! (2018年8月20日 17時) (レス) id: 5ddf379a2d (このIDを非表示/違反報告)
あゆみ - goziga aruyo----- (2018年8月19日 9時) (レス) id: a08ea1484b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:匿名 | 作成日時:2018年7月23日 0時