金澤先輩がうるさい°Zawa ページ4
「なんで書記なのに仕事せんの」
隣に座る金澤先輩が嫌味ったらしく私にそう言った。私は教壇で話す生徒会長の小柳津君から会計の金澤先輩へ視線を移す。不機嫌そうな顔をしてる先輩。持っていたシャーペンを、くるりと回した私は「してます」とだけ返した。だが彼は食い気味に「してない」と即答する。
「ちゃんとしてますよ」
「じゃあ今さっき会長がなんて言ったか分かる?」
「それは分からない」
「聞いてないからでしょ」
「聞いてたけど意味が分からなかったんです」
「それは嘘やん」
私からシャープペンシルを取り上げた彼は、私の手元にあったノートに"後期の目標"と大きく書いた。
「これ。黒板にも書いてるけど、今日の議題だよね」
その綺麗な字を見下ろし「書記は私なんです」と彼からペンを奪い取る。
「仕事せんからやん」
「してます」
「…………」
「……………」
チン、と沈黙。
彼との距離感は、いつも私の心を締め付けていた。生徒会であり会計の金澤先輩。同じ生徒会メンバーで(一応書記)の私が不真面目だから、彼は私の事がきっと嫌いだ。私だってこんな"真面目だけが取り柄なんです"みたいな眼鏡マン嫌い…じゃないけど、でも相手が私のこと好きでないって言うんなら私だって嫌いだ。
「書記は書くことが仕事なんだよ」
「今は何も書く事無いですし」
「あっても書かんやん」
「あれば書きます」
頑なにそう言う私に目を細めた彼は、机の上にある生徒会用のノートの前のページをめくる。どのページにも同じ字が並び、それはひどく達筆でマス目にきちんと収まっている。
「これ全部、僕の字」
「そうでしたっけ」
「やっぱり仕事してないな」
「いや、あたしのもありますよ」
そう言ってあたしが指差したのは、ノートの端で変なポーズをしたうさぎのイラスト。それを見た彼は苛立ったように口角を歪める。
「これは落書きやん」
「まぁ、まず可愛く無いですか?」
「"まず"このノートに僕の字しかない事がおかしい!」
声を荒げた彼。それを見た小柳津会長。黒板の前で話していた彼は人差し指を自分の口の前に当てて「発言は挙手してからで」と鋭く告げる。不満気な様子の金澤先輩だったが、また話を始めた会長を尊重するよう直ぐに口を閉じた。そんな彼の肩を私はトントンと叩く。眉をひそめて私を見た彼。嫌なら無視すればいいのに、こういうところも真面目だ。渋々と行った風に振り向いた彼、私は先程のうさぎの絵を指差す。
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匿名(プロフ) - Mrs.ぱんぷきんさん» リクエストありがとうございます!亀さんペースですが、ゆるゆる執筆中ですので気長にお待ち頂ければと思います。 (2019年8月13日 11時) (レス) id: 5ddf379a2d (このIDを非表示/違反報告)
Mrs.ぱんぷきん(プロフ) - てつやさんのお話がもっと読みたいです!!!お時間がある時で全然大丈夫なので、ぜひともお願いします! (2019年7月31日 9時) (レス) id: 318cc8d8b4 (このIDを非表示/違反報告)
匿名(プロフ) - あゆみさん» ご報告ありがとうございます。一応全文確認してみたのですが、どこでスルーしているのか確認出来ずです…。タイミングが有ればで良いので、どのお話かだけ教えて頂けると凄く助かります。よろしくお願い致します (´._.`) (2018年8月20日 17時) (レス) id: 5ddf379a2d (このIDを非表示/違反報告)
匿名(プロフ) - らいさん» お返事遅くなりました。時間が空きながらの更新ですが、それでも楽しみにしてくれる方々にとても感謝しております。ご要望にお応えできるかは分かりませんが、なるべく優先して考えたいと思います^ ^ コメントありがとうございました! (2018年8月20日 17時) (レス) id: 5ddf379a2d (このIDを非表示/違反報告)
あゆみ - goziga aruyo----- (2018年8月19日 9時) (レス) id: a08ea1484b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:匿名 | 作成日時:2018年7月23日 0時