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僕の憂鬱達03 ページ24

なんて、そんなドラマみたいなセリフを言えるわけもなく。肩を掴まれたまま、目を丸くしている彼女に俺は笑った。

「大丈夫!妹って説あるやん!」

「……………」

それを聞いて眉尻を下げた彼女は、ふっと鼻で笑った。

「…妹説なぁ」

ポツリと独り言のように繰り返した彼女は、窓ガラス越しに彼の後ろ姿を眺める。まるで冷たい炎が静かに燃えるようなその視線。
不意にそれを感じ取ったのか、突然はやしんがこちらを振り返ったのだ。一瞬ドキッとしたけど、グラウンドから俺達が見えたのか笑顔で手を振るはやしん。それに返すようにAも満面の笑みで手を振り返す。

「何があかんかったんやろ」

自分に問いかけるように言ったAの瞳から、ぽろりぽろりと涙が落ちて肌を伝う。こんなに切なそうに彼女が頬を濡らしても、それが彼から見えることなど無い。また俺達に背中を向けたはやしんは女の子と二人で学校の門を抜けて行く。

「あたし…、しんちゃんの前では女の子らしくしててんけどなぁ…」

Aは苦笑いをして、手の甲で涙を拭った。耳の先まで熱くした俺は、喉に突っかかっていた言葉を何かに背中を押されたように唐突に吐き出す。

「俺の前でなら、そんな事気にせんでもいい」

「………え?」

突然の告白紛いの言葉に、驚いた顔をしてこちらを見たA。

「俺やったら、どんなAでも好きな自信あるし。絶対泣かせるような事はしやへん」

夕日に照らされた彼女の長いまつげに、涙の粒がキラキラと輝いている。

「しんちゃんやめて、俺にしーや」

ドラマのようなクサい台詞の後、興奮して思わずAの手を取ってしまったが、Aは戸惑った表情で俺を見てる。
実際、よく今まで俺の気持ちに気付かんかったなって感じやけど、俺以外ばっかりを見てる彼女が、自分にとってどうでもいい俺の考えてる事を当てようとする筈など無かった。

「なんか…かめちゃんって、ほんま優しいよな」

「……………」

「あたしが急に泣いたから言うてくれたんやろ?」

「…別に。そんなんじゃ無いけど」

「ありがとう」

そう呟いた彼女は至極困ったように微笑む。それを見た俺はふと何かを察した。そして、あれだけ早かった血の流れがゆっくりになって、まーちん達のクラスから生徒が雪崩のように出てくる。途端にAはいつもの凛とした表情を取り戻し、俺の手から彼女の細い指先がすり抜けていった。Aは答えを濁した。それが答えだった。
まるで何もなかったかのように、大量の生徒の中に彼女は溶け込んでいく。

なにして欲しい?°ryo→←僕の憂鬱達02



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作品ジャンル:恋愛
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匿名(プロフ) - Mrs.ぱんぷきんさん» リクエストありがとうございます!亀さんペースですが、ゆるゆる執筆中ですので気長にお待ち頂ければと思います。 (2019年8月13日 11時) (レス) id: 5ddf379a2d (このIDを非表示/違反報告)
Mrs.ぱんぷきん(プロフ) - てつやさんのお話がもっと読みたいです!!!お時間がある時で全然大丈夫なので、ぜひともお願いします! (2019年7月31日 9時) (レス) id: 318cc8d8b4 (このIDを非表示/違反報告)
匿名(プロフ) - あゆみさん» ご報告ありがとうございます。一応全文確認してみたのですが、どこでスルーしているのか確認出来ずです…。タイミングが有ればで良いので、どのお話かだけ教えて頂けると凄く助かります。よろしくお願い致します (´._.`) (2018年8月20日 17時) (レス) id: 5ddf379a2d (このIDを非表示/違反報告)
匿名(プロフ) - らいさん» お返事遅くなりました。時間が空きながらの更新ですが、それでも楽しみにしてくれる方々にとても感謝しております。ご要望にお応えできるかは分かりませんが、なるべく優先して考えたいと思います^ ^ コメントありがとうございました! (2018年8月20日 17時) (レス) id: 5ddf379a2d (このIDを非表示/違反報告)
あゆみ - goziga aruyo----- (2018年8月19日 9時) (レス) id: a08ea1484b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:匿名 | 作成日時:2018年7月23日 0時

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