かわいいひと°Zawa ページ11
「ねぇ、カキ氷のシロップって全部同じ味なんだよ。知ってた?」
得意気にそう尋ねてきたのは僕の隣を歩くA。既にその情報が知識として組み込まれていた僕は、知ってるよと頷く。すると彼女は詰まらなさそうな顔をして僕から目を逸らした。
「なんだ、つまんない」
それを口に出してしまうのがAらしい。そんな彼女の手には青色のカキ氷が握られていて、僕の手には黄色のカキ氷。どうやら味が一緒だと分かっていて、彼女はカキ氷を買ったらしい。彼女はそんな味の理屈がどうこうよりも、お祭りの雰囲気を楽しみたいタイプの人間だ。ストローでザクザクと氷を崩したAは僕の方をちらりと見た。
「ざわ君のやつ、ちょっと頂戴」
「それとこれ。おんなじだよ」
「いいの」
僕のスプーンごとカキ氷を奪い取った彼女は、黄色の氷を口に入れて「うん、レモンの味がする」とか適当なことを言ってる。
「錯覚だって」
「良いからあたしの食べて」
「一緒なのに…」
文句を言いつつも彼女から受け取った青色、もといブルーハワイ風のカキ氷を口に運ぶ。口に入れても、やっぱり味は甘ったるい蜜の味だ。同じじゃんと思ってAにカキ氷を返すと、途端にAはニヤニヤしながら僕を指差す。
「はい、間接キスです!今のであたしと間接キスしました!」
同じ事を二回言ったA。
「ね、気付かなかった?」
子供みたいにはしゃぐAを見て、可愛い人だなって僕はフッと笑う。
「何を今更」
「ん?」
「それ以上の事、僕としてるのに」
笑いながら放った僕の言葉にAは途端に何も言わなくなり、気まずそうに俯いてストローで氷を崩す。黙り込む彼女の頰が赤くなっていて、僕はAの熱そうな部分にカキ氷を当てた。
「!」
冷たい感触に驚いた顔をしてこちらを見上げたA。冷たいと言おうとしたその唇に甘い味のキスをする。
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匿名(プロフ) - Mrs.ぱんぷきんさん» リクエストありがとうございます!亀さんペースですが、ゆるゆる執筆中ですので気長にお待ち頂ければと思います。 (2019年8月13日 11時) (レス) id: 5ddf379a2d (このIDを非表示/違反報告)
Mrs.ぱんぷきん(プロフ) - てつやさんのお話がもっと読みたいです!!!お時間がある時で全然大丈夫なので、ぜひともお願いします! (2019年7月31日 9時) (レス) id: 318cc8d8b4 (このIDを非表示/違反報告)
匿名(プロフ) - あゆみさん» ご報告ありがとうございます。一応全文確認してみたのですが、どこでスルーしているのか確認出来ずです…。タイミングが有ればで良いので、どのお話かだけ教えて頂けると凄く助かります。よろしくお願い致します (´._.`) (2018年8月20日 17時) (レス) id: 5ddf379a2d (このIDを非表示/違反報告)
匿名(プロフ) - らいさん» お返事遅くなりました。時間が空きながらの更新ですが、それでも楽しみにしてくれる方々にとても感謝しております。ご要望にお応えできるかは分かりませんが、なるべく優先して考えたいと思います^ ^ コメントありがとうございました! (2018年8月20日 17時) (レス) id: 5ddf379a2d (このIDを非表示/違反報告)
あゆみ - goziga aruyo----- (2018年8月19日 9時) (レス) id: a08ea1484b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:匿名 | 作成日時:2018年7月23日 0時