37.手出しちゃダメ ページ37
テレビゲームをして盛り上がるわきを達を横目に、あたしは自分の前の椅子に座って煙草片手にテレビ画面をぼうっと眺めているジン君へ目をやる。
「ありがとう」
あたしは彼へそう言った。その声にチラリとこちらを見上げた彼は、人差し指と中指で挟んだ煙草を深く吸い込み、かと思えば大量の副流煙をあたしに吹きかけて来た。
「ちょっと…！」
「なんのありがとう？」
「…なんのって、お弁当の」
「何で出てこなかったの」
自分の周りにまとわりつく灰色の煙を払い退け、あたしは彼の質問に顔を歪める。
「あの状況で出てくる奴、きっと居ないと思う」
あたしの返答に無表情のまま目を細めた彼は「ま、良いけど」と案外あっさりと顔を逸らした。
「わかってると思うけど、物凄い騒ぎになってた」
「ああそう」
「……………」
これが不機嫌なのか、通常運転なのか、読み取ることも無くあたしは騒ぎ散らす彼等に目をやってまた口を開いた。
「てか、変な噂流れるから生徒に連絡先聞くのやめた方がいいよ」
「なんだそれ。聞くかよ」
あたしの言葉に即答した彼は、短くなった煙草を灰皿に押し付けて潰す。
「聞いたじゃん」
「聞いてねぇ」
「嘘つき」
「聞いてない、聞かれたんだよ」
話が違う。ハッキリとそう言った彼の目は嘘をついていそうにないが、正直どちらが本当のことを言っているのか分からない。眉をひそめつつ「教えたの？」と尋ねた。すると彼は迷う事なく頭を縦に振る。
「可愛かったから教えた」
「教えてるじゃん！クズ！」
「は、なんでそうなんの」
「相手まだ未成年なんだけど」
「おいおい。まだなんもしてねーよ」
「まだ！？普通に犯罪になるからね」
実際に成人した人間が未成年に手を出したら犯罪になるのだ。そう伝えれば目尻に笑い皺を寄せた彼はあたしを鼻で笑う。
「ふはは、怖い怖い」
「何も面白く無いんだけど」
「まぁね」
「なんなの…」
「てかなにそんな怒ってんの」
尋ねられて、途端にあたしは言葉を詰まらせる。二人の空間だけが切り離されたように沈黙に包まれても、答えようが無いのだ。何に怒っているのかが自分でも分からなくなっていたことに気付いたから。迷いに迷ったあたしは取り敢えずといった勢いで口を開く。
「…誰でも良いんだと思って」
「うん。可愛い子なら誰でもいい」
「訳わかんない。バカじゃん…！」
もうこの話やめたとあたしはそっぽを向く。次の言葉を待ったが、彼は何も言って来なかった。
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匿名(プロフ) - 湯豆腐さん» とても嬉しいコメントありがとうございます^ ^ なかなか試行錯誤しておりますが、私なりの彼等を楽しんで頂ければと思います。お話いっぱいになり移行しましたので、次も末永く応援頂けると嬉しいです！ (2018年4月26日 21時) (
レス) id: 5ddf379a2d (このIDを非表示/違反報告)
匿名(プロフ) - 花恋さん» お返事大変遅くなりました。時間が空きながらの更新ですが、それでも楽しみにしてくれる方々にとても感謝しております。またお話増えましたので、お時間ある時にでもちらりと覗いてみて下さい^ ^ お待ちしてます。 (2018年4月26日 21時) (レス) id: 5ddf379a2d (このIDを非表示/違反報告)
匿名(プロフ) - なななさん» お返事大変遅くなり申し訳ないです。応援ありがとうございます！時間が出来また更新し始めたので、これからも気長に見守って頂ければ嬉しく思います^ ^ (2018年4月26日 21時) (レス) id: 5ddf379a2d (このIDを非表示/違反報告)
匿名(プロフ) - 夜星さん» お返事大変遅くなってしまいました。最近時間が出来たのでゆるゆると更新しております。暇な時にでも覗きに来ていただければ幸いです^ ^ (2018年4月26日 21時) (レス) id: 5ddf379a2d (このIDを非表示/違反報告)
湯豆腐(プロフ) - 匿名さんがかくジンくんとマホトくんが一番好きです。匿名さんも大好きです。これからも応援してます！ (2018年4月25日 19時) (レス) id: 65ae9a78b1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：匿名
| 作成日時：2017年7月10日 7時
