13.騒がしい夜 ページ13
SIDE.MAHOTO
今晩は珍しく上の階が騒がしかった。暴れまわるような音が何度かして、少しの間シーンとした後、また人の足音みたいなのがこっちの部屋にまで響いてる。数分とかの話ではない。これは一時間ほど前から続いていて、その音達に不思議そうに視線を揺らしたサグワが「なんか上の階の人暴れてるね」と呟いた。俺は同意するように頷く。
「また虫でも出たんじゃねぇの」
煙草をふかし、冷めた様子で言ったジン。
「虫ならジン君の出番だ」
茶化すように言った相馬を足蹴にしたジンはしつこいぞって眉間に皺を寄せる。
「てかシンプルに最中なんじゃないの」
ニヤニヤした相馬に「それなら今までもうるさかっただろ」とジンが否定するように笑った。彼等の会話が繰り広げられる間も、やっぱり上からは激しい物音がしてる。確かにこれはベットの鳴る音とかじゃなくて、人間が何度も飛び跳ねるみたいな音に近い気がする。
「虫じゃないなら引越しの準備とか?」
眠気混じりに目をこすったサグワが言うので俺は時計を見上げるが、時刻は丑三つ時。深夜の2時を過ぎたところだ。
「こんな時間にあり得ないでしょ。やっぱり虫じゃないの」
俺の言葉にみんなが時計に視線をやって成る程と納得し、また目線を元の位置に戻す。何だろうと腕を組んだ相馬の横でサグワが眠たそうに欠伸をしてる。
「喧嘩してるんかな」
そう言ったのは、先程までパソコンと睨めっこしていたへきほーだった。俺達は一斉にへきほーを見る。お互いに視線を交え、誰もがそうかもしれないと思った筈だ。肯定するべく俺が口を開いたその瞬間、窓ガラスが割れるような物凄い音がマンションに
「………なに今のエグい音」
シーンとする空間で相馬は青い顔をして尋ねてきた。だけどその質問はこの部屋にいる誰もが思っている事だ。唐突に眠気を吹き飛ばされ目を丸くしていたサグワが上を指差した。
「…上からじゃない?」
へきほーの言った通り、上の階の人達は今すっごい修羅場なのかもしれない。とにかくこういう時に”動画にしないと!”って思うのはYouTuberならではなのだろうか。早速カメラを探そうと体を起こした俺より、先に立ち上がったのは何故かジンだった。
「見てくる」
タバコを灰皿に潰してさっさと部屋を出て行くジンの背中を、驚いた顔の相馬が目で追う。サグワもへきほーも同じような表情で彼を見た。
「待って、行ってどうすんの!」
彼を呼び止めた相馬の声は、玄関の扉を閉めた音に掻き消される。
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匿名(プロフ) - 湯豆腐さん» とても嬉しいコメントありがとうございます^ ^ なかなか試行錯誤しておりますが、私なりの彼等を楽しんで頂ければと思います。お話いっぱいになり移行しましたので、次も末永く応援頂けると嬉しいです! (2018年4月26日 21時) (レス) id: 5ddf379a2d (このIDを非表示/違反報告)
匿名(プロフ) - 花恋さん» お返事大変遅くなりました。時間が空きながらの更新ですが、それでも楽しみにしてくれる方々にとても感謝しております。またお話増えましたので、お時間ある時にでもちらりと覗いてみて下さい^ ^ お待ちしてます。 (2018年4月26日 21時) (レス) id: 5ddf379a2d (このIDを非表示/違反報告)
匿名(プロフ) - なななさん» お返事大変遅くなり申し訳ないです。応援ありがとうございます!時間が出来また更新し始めたので、これからも気長に見守って頂ければ嬉しく思います^ ^ (2018年4月26日 21時) (レス) id: 5ddf379a2d (このIDを非表示/違反報告)
匿名(プロフ) - 夜星さん» お返事大変遅くなってしまいました。最近時間が出来たのでゆるゆると更新しております。暇な時にでも覗きに来ていただければ幸いです^ ^ (2018年4月26日 21時) (レス) id: 5ddf379a2d (このIDを非表示/違反報告)
湯豆腐(プロフ) - 匿名さんがかくジンくんとマホトくんが一番好きです。匿名さんも大好きです。これからも応援してます! (2018年4月25日 19時) (レス) id: 65ae9a78b1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:匿名 | 作成日時:2017年7月10日 7時