Episode … (9) ページ10
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8時16分
何とか間に合ったぁ …
今日の講義は進路に響くから
絶対に遅刻できへんねん 。
ギリギリ間に合って一安心や 。
後はバスが来るのを待つだけやな。
なんて 、不意にバックの中を見てみると
少し違和感に気付く
「 あれ …… 」
ない！
バックの中のポケットに入れとったはずの学生証があらへん！
なんでなん … ？
バックの中どこ探してもあらへん 。
… まさか
さっき 、ぶつかった時に落としてもうたのかな？
あれ失くしなら厄介やのに …
財布 、携帯と同じくらい大切やし
個人情報びっしり入っとるからなぁ …
再発行してもらわなアカンやん 。
警察にも紛失届け出しに行かなアカンし
今から
さっきの場所まで探しに行く … ？
でも 、バスが ……
ホンマは今からでも探しに行った方がええのに
初めての出来事にアタフタしている私 。
「 …… どうしよう 。」
なんて
ぼそっと呟くと
急に肩をﾄﾝｯと叩かれた 。
私は驚いて振り返ると
さっきの彼が立っとった 。
:
「 あ … さっきの 」
『 急に 、ゴメンな …
… これ
落ちてたんやけど君の？』
彼は写真と大学名やその下に池村Aと書かれた
明らかに私のであろう学生証を差し出した 。
「 … え 、これわざわざ届けに来てくれはったんですか？」
『 呼び止めたんやけど
急いでたから聞こえてへんかったみたいで
これなかったら困るやろうなって思ったから 。』
と 、彼はまた可愛らしい笑顔を見せてくれた 。
「 … これ 、失くしたらアカンやつなんです！
ホンマに 、ホンマにありがとうございます！」
『 ええんよ！』
なんて言ってはいるものの
彼は明らかに息切れしていた 。
きっと走って届けに来てくれたんだろう 。
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作者名：おもち 。 | 作成日時：2020年5月22日 0時
