ABARERO

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亮平side


亮平「……で、報告は？」



俺は足を組み替えると、ファイルにまとめられた書類に目を通す。



机に肘をつくと、手で顎を支える。



『は、はい！本日も見回りを行いましたが、異能者は確認できませんでした。』



兵士の１人がびしっと背筋を伸ばして言う。



俺はそっと視線を向けると、口角を上げて笑みを浮かべる。



亮平「……ふーん……じゃあ、この街にはもう“彼女”はいないのかなぁ……」



俺はパタンとファイルを閉じると、椅子から立ち上がり棚にファイルを戻す。



亮平「ふっかは？今どこ？」



『深澤元帥でしたら、自室にいらっしゃるかと……』



亮平「そ。わかった。もう行っていいよ。」



『はい！失礼しました！』



俺の言葉に頷くと、二つ返事で部屋から出て行った。



亮平「……ったく、ほんと兵隊ってどうしてこうも暑苦しいんだか……」



俺は独り言のように呟くと、部屋を出た。



しばらく歩くと、目的の部屋につく。



ノックをすると、中から「どうぞ」と聞き慣れた声が聞えてきた。



亮平「……ふっか。俺だけど。」



辰哉「……あぁ、なんだ阿部ちゃんか。」



部屋のドアを開けると、ふっかはソファーに足を組んで座っていた。



そのソファーの前にあるテーブルに淡い紫色の液体が入った瓶が置かれている。



亮平「どこ行ってたのって聞こうとしたけど。その様子だと、大吾のとこだね。」



辰哉「あたり。てっきり、大吾のところに阿部ちゃんいるかと思ってたけど。」



亮平「俺は普通に自分の部屋にいたよ。兵士さんが毎日ご丁寧に報告してくれるからさ。ま、いつも『異能者は今日も見つかりませんでした』だけどね。」



辰哉「見つかったら大事だよ。……すぐに処分しなきゃだし。」



ふっかはそういうと、ふっと怪しく笑った。



亮平「……それもそうだね。」



俺は微笑みながら白衣のポケットに手を突っ込んだ。









俺たちは、この国を支配している。



いわゆる、政府の人間だ。



中でも俺たち３人は政府のすべてを牛耳っている。



異能に関する科学者である俺阿部亮平と、共同研究者である西畑大吾。



そして、俺たち３人の中でもリーダー的存在。



軍隊の元帥とも呼ばれるほどの実力を持った男。



そして、異能者狩りを始めた張本人。



深澤辰哉。



この国は、主に彼と側近である俺たち２人が支配している。

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