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Aが「暑いね〜」とボヤいたので、かき氷を買う事にした。
「かき氷、何味がいい?」
自分の荷物の中から財布を取り出してAに聞く。
Aは自分の財布から金を取って、俺に渡した。
「レモン。無かったら、ブルーハワイ」
「金は帰ってからでいい」
「忘れちゃいそうだから」
「あっそう」
金を受け取り、さっさとかき氷を買いに行く。
「レモン味ってありますか?」
「無いです」
スタッフに即答された。
宇治金時は有るのに、レモンは無いのかよ。
無いのなら仕方がないので、ブルーハワイとイチゴを買った。
「へぇ、***くんってイチゴが好きなの?」
「可愛い〜!」と、隣から声が聞こえた。
声のした方を見れば、ここなとかいうツインテールが居た。
「あ、私もイチゴ味くださ〜い」
愛想良く注文をするツインテール。
俺は金を払って、自分が注文したかき氷を受け取る。
Aの待っている所へ戻ると、Aがブリッジしていた。
おかげで、周りからの視線が痛い。
「……何してんだお前……」
俺が声をかけると、Aはブリッジをやめた。
「あ、***。いや、心菜ちゃんがどっか行っちゃって……知らない人に声かけられたくないから、声をかけたくない様にしてやろうと……」
頭に血が上ったせいで、Aの顔は真っ赤だった。
ナンパ対策が斜め上すぎて、ただの変質者になっている。
どこで育て方を間違えたんだ?
俺はAの隣に座る。
Aも座ったので、買ったかき氷を渡す。
「レモン、無かったんだ」
「宇治金時は有った」
「なんで?」
「知るかよ」
かき氷を受け取り、青いシロップのかかった氷をストローでグサグサと刺すA。
「***ってさ」
「あ?なんだ___」
「ひっどぉ〜い、***くん!何で先に戻っちゃうの?!」
俺の言葉を遮ったツインテールが、頬を膨らませながら俺の隣に座った。
お前と一緒にかき氷を買いに行った覚えなんてねぇよ。
ツインテールがひっついてくるので、Aの方にずれる。
しかし、それでもひっついてきやがる。
「なーにしてんのっ?!」
元クラスメイトが戻ってきた。
さっきまで泳いでたのだろう。全身ずぶ濡れだ。
「そろそろ荷物当番交代しようぜ〜って思ってたけど、かき氷食ってからだな」
元クラスメイトが俺の前に、向かい合うように座った。
おい、ツインテールをどうにかしろ。
Aの前だと、下手な事言えねぇんだよ。
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作者名:そうや | 作成日時:2020年9月27日 15時