約束したから (ページ7)

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あの先輩は、100%下心を持った状態で、Aと同じ部屋にしたのだろう。

俺の腕を掴んでいるAの手を引き剥がして、Aの手を握る。
珍しく、Aが俺の手を握り返した。

何事だと思いAの顔を見る。
Aは目を伏せて、ムスッとした顔をしていた。

楽しくなかったのだろう。

この日以降、Aは俺以外の男に近づかない様になった。
クラスメイトの浅野とですら、俺の近くじゃないと話さない。

流石におかしいと思い、浅野と一緒にAの友達に聞きに行った。

「先輩が、＊＊ちゃんにボディータッチしてて……＊＊ちゃん、嫌がってたんですけれど……」

話を聞いて、殺意が湧いた。

「人を殺しそうな顔をしているぞ。落ち着け」

浅野が俺の肩を掴む。

何を言ってるんだ？
俺は落ち着いている。

ボディータッチくらいで、Aが男を避けるわけないだろ。
俺が毎日手を握ってるから、普段喋らねぇ奴との体育祭でのハイタッチくらい、Aは全く気にしない。
Aが男を避けるくらいのボディータッチなんて、セクハラレベルだろ。
どこを触ったのか知らねぇけど！

当たり前だがAに聞けねぇので、とりあえずAの友達に聞いた。

「あのセクハラ野郎、どこ触ってた？」

「えっと、肩を抱き寄せたり、太ももとか……」

怯えながらAの友達は報告してくれた。

殺意が増した。

「＊＊＊、口から不思議な音が聞こえるぞ」

浅野に指摘され、全集中の呼吸をやめる。
常中は会得しているが、たまに無意識で呼吸の音が大きくなってしまう。

「け、喧嘩だけはやめてね？あの先輩、素行不良だけど成績が良いから、ある程度は見逃してもらってるみたいで……」

Aの友達が眉間にシワを作った。

「喧嘩、強いみたいだから」

そんな心配はご無用だ。
こっちは前世で鬼を殺してたし、なんなら人も殺してたからな。
今でも体は鍛えてるし。

「＊＊＊、問題は起こすなよ？喧嘩は以ての外だ。僕の手駒に素行不良はいらない」

浅野が深いため息を吐いた。
俺は苛立ちと殺意を隠しもせず、舌打ちをする。

「お前の手駒になった覚えなんかねぇよ」

誰が俺より弱い奴の手駒になるか。

それに、喧嘩はしねぇよ。
問題を起こすのは馬鹿がする事だ。

「どうするつもりだ？」

「……別に……」

俺は浅野から顔を背ける。

お前には関係ない。
喧嘩はしない。
問題は起こさない。

ただ、話すだけだ。