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Aは告白を断ると、俺の隣に来た。
俺はAの手を引いて、教室に戻る。
「……遅かったな」
浅野が午後の授業の準備をしながら、横目で俺達を見た。
誰かさんのせいでな。
油断も隙も無い。
いくら兄妹だと言え、前世では好意を寄せていた奴だ。
誰にもやるつもりは無い。
午後の授業を終え、ホームルームが終わると、クラスメイトからの遊びの誘いを全て断り、Aと一緒に家に帰る。
放課後は遊ばない。
休日の昼間に遊びに誘われたんなら、遊びに行く。
Aは放課後でも友達と遊びたいらしい。
門限があるわけでは無いが、俺が許さない。
「ねぇ、一時間だけでも、ダメ？」
可愛らしく強請るA。
「駄目だ」
即拒否する俺。
Aはムスッとした。
「え〜っ！？カラオケ行きたい。クレープ食べたい」
「週末連れて行ってやる」
「友達と行きたい」
「俺とじゃあ嫌かよ」
Aがピタリと足を止めた。
何だよ……？
何か言えよ。
「別に嫌じゃないけど……」
Aは口をモゴモゴさせている。
言いにくい事でも有るのか？
「言いたい事が有るなら、ハッキリ言えよ」
思っていた以上に、キツめの口調になってしまった。
Aがビクリと体を強張らせ、顔を伏せる。
「……あのさ、＊＊＊の言ってる『A』って誰なの？」
「お前の事だろ」
「違うよ。＊＊だよ」
「違う。お前はAだ」
何だいきなり……
Aは伏せていた顔を上げる。
下唇を噛み締め、涙を必死にこらえていた。
「＊＊＊」
違う。俺は獪岳だ。
＊＊＊じゃない。
「ねぇ、＊＊＊にとって、私って何？妹じゃないよね？＊＊でもないよね？Aとして見てるよね？」
俺は何も言えなかった。
今世でコイツは妹だ。
手を出してない。
出せない。
出す気もなかった。
血の繋がった兄妹だから。
でもコイツはAだ。
前世で、同じ組織に所属して、何度か合同任務で一緒に戦っただろ？
何で覚えてないんだよ……
「……明日、友達とカラオケ行くから」
Aは俺から手を離すと、俺の前を歩いた。
いつも俺の後をついてきてたのに。
いつも俺の側にいたのに。
「おい！」
俺はAの手を掴んだ。
Aは俺の手をはたき落とし、走って俺から逃げた。
時間差で、叩かれた手がヒリヒリと痛む。
……Aが俺から逃げた？
いや、違う。
違う！
Aが逃げる訳が無い。
Aは俺を受け入れてくれる奴だ。
アイツだけが、俺を……
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作者名：そうや | 作成日時：2020年9月27日 15時
