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前と同じ様に、Aの体は燃えていた。
駄目だ。
死ぬ。
このままでは、死んでしまう。
影に、移動しなくては……
這いずってでも、動け。
生きてさえいれば……
なんでまた、コイツは死のうとするんだ？
前もそうだった。
俺が鬼になっても、泣いたり怒ったりはしなかった。
でも、自分が鬼になったら、泣いて、怒って、自ら陽の光を浴びに行ったのだ。
そうだ、アイツは……
燃えて、それで……
灰になる前に、俺が……
「俺が……」
「かいがくくん」
すぐ後ろで、人外の声が聞こえた。
「すみません。私では……」
五月蝿い。五月蝿い。
黙れ。
なんでお前が泣きそうな声をしているんだよ。
泣きたいのはこっちだ。
影に移動しても、体が再生しない。
Aも、俺も、体が、崩れていく。
死ぬ。死んでしまう。
また、死んでしまう。
Aを抱きしめる。
血の匂いしかしなかった。
「A……」
息苦しい。
体の感覚が殆ど残っていない。
死ぬ。
死ぬんだ。
なんでだよ。
俺、我慢してたのに。
人も、食わなかった。
お前の目が覚めた時に、今まで育ててくれた親がいないと、困ると思ったんだ。
鬼の事も、調べたんだ。
鬼殺隊で特別入隊許可のでた鬼が、人間に戻れたのか知りたかった。
でも、どうでもよくなった。
人間に戻れなくても、別に殺されたりしないのだから。
一人じゃない。
Aも鬼になったし、ずっと一緒に居れると思ってた。
「A……なぁ、起きろよ……」
いつまで寝ているつもりだ？
起きろよ。死ぬんだぞ？
「……怒ってるのか？悪かったって……」
謝るから。
「俺が、人を食ってたの……」
だって、腹が減って……
「死ぬの、嫌で……A……ごめん。俺、お前、食べて……」
前回、Aが完全に燃え尽きてしまう前に、Aを食べたのだ。
焦げ臭かったが。
それを、今まで忘れていた。
ずっと、一緒に居たかった。
鬼になったら、骨すら残らない。
だから、居なくなる前に食ってしまえば、ずっと一緒に居れる気がした。
お前が居なくなれば、俺を見てくれる奴が居なくなるんだ。
嫌だ。
それだけは嫌だった。
俺は独りじゃない。
俺には、Aが居る。
前は、独りだったが、今は違う。
コイツも一緒に、死ぬんだ。
次は一緒に居よう。
でも、兄妹はうんざりだ。
次は他人が良い。
絶対に、俺がお前を見つけるから。
お前はただ、俺を思い出してくれれば良い。
それだけで、俺はひとまず安心できる。
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作者名：そうや | 作成日時：2020年9月27日 15時
