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俺達は椚ヶ丘学園に通っている。
有名な私立の学校だ。
成績が悪いと、三年の時にE組行きになる。
そんな事にはならない自信がある。
理由もちゃんとある。
俺は成績は良いし、素行不良もない。
部活動には入ってないが、運動神経も良かった。
前世で鬼と戦う時に使っていた呼吸を、こっそり習得しているから、一般人よりは圧倒的に強い。
Aは呼吸が使えなかった。
前世で使えてたから、コイツも出来るだろうと思ってたのに。
出来なくても何ら問題は無い。
今世で鬼に会った事なんて一度もないのだ。
今世では、鬼の出てくる創作の物語はあれど、人食い鬼の情報は何一つ無かった。
鬼殺隊が鬼を全滅にしたか、それともまだ鬼殺をしているかのどちらかである。
文明の発達した今世では、夜でも明るい。
夜でも、人々は外を出歩く。
俺達は夜は出歩かないので、鬼に出くわす確率は低いだろう。
「前世で結ばれなかった男女が、来世では“きょうだい”になるらしい」
クラスメイトの浅野が、突然そんな事を呟いた。
「そんなに顔を顰めるな。ただの迷信さ」
軽く笑う浅野。
俺は机に突っ伏した。
何だよ突然。
迷信だったら良かったな。
生憎だが、そうではないことが証明されている。
「君は時々、＊＊さんの事を別の名前で呼ぶ。渾名か？」
「お前に教える義理は無い」
＊＊じゃない。
Aだ。
「A」と呼ぶと、両親は怒る。
この前、俺が未だにAと呼び続けていたので、病院に連れて行かされかけた。
親が居る前では、Aの名前を呼べなくなってしまった。
Aはどちらの名前で呼ばれても反応する。
俺が前世の記憶を思い出した時から、呼んでいたからだ。
「＊＊さんが告白されて＿＿＿」
俺は椅子を倒しながら立ち上がった。
教室に戻ってくるのが遅いと思ったら、何処ぞの馬の骨とも知らねぇ野郎に時間割いてんのかよ。
「はったりだ」
頰杖をついた浅野が、笑顔で俺を見上げる。
俺はたまらず舌打ちをした。
「探してくる」
教室から出て、Aを探す。
裏庭に、Aは居た。
三年の先輩に、告白されていた。
おい浅野、何がはったりだ馬鹿野郎。
告白されてんじゃねぇか。
「A」
声をかけると、Aがこちらに顔を向けた。
「＊＊＊」
「おせぇよ。トイレ行ってただけだろ。何でこんな所に……」
「えっと、話がしたいって言われたから……」
コイツ、のこのこついて行ったのかよ……
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作者名：そうや | 作成日時：2020年9月27日 15時
