約束したから (ページ16)

今日:7 hit、昨日:3 hit、合計:2,163 hit

＋15＋ページ16

俺はベッドに横になり、頭まで布団をかぶった。

前世で、Aが言ってた。
鬼殺隊に特別入隊許可された鬼が居ると。
その鬼は、人を食わずに、眠って回復していたのだと。

だから、寝ればいい。
Aが困るから、人は食えない。

「＊＊＊くん、話だけでもどうかな？そのままでも構わない」

柳沢の声が、くぐもって聞こえる。

もう、誰にも会いたくない。
……Aは？
アイツは？
なぁ、俺より、アイツの方が傷、多くて……

「君の妹さんも、君と同様、傷を再生させていた」

柳沢のその言葉で、Aが気絶する前の姿が脳内にフラッシュバックする。

アイツの目も、色が変わっていた。
アイツの爪も、長くなっていた。

なんでアイツは鬼になったんだ？
俺も、なんで鬼になったんだ？
鬼になるには、鬼の始祖の血が必要だ。
でも、今回、俺とAは鬼の始祖と接触していない。

「ご両親に話を聞いたら、＊＊＊くんは、もともとこういう見た目じゃなかったらしい」

そりゃあ、鬼になったからな。

「何か、こうなった原因はわかるかな？」

知るかよ。
さっさと帰れよ。

「君達の回復力を研究したら、きっといろんな人の命を助けられるかもしれない」

「帰れ」

布団の中から、ほんの少し顔を出し、柳沢を睨む。
柳沢は俺をに睨んだが、俺が殺気を出すと、奥歯を噛み締めた。

「すまなかった。配慮が足りなかったようだ。ご両親も、申し訳ございません」

柳沢は穏やかな笑顔()を貼り付け、謝った。
俺は布団の中に潜る。
柳沢の気配が遠のいた。

「＊＊＊、大丈夫か？」

「帰ってくれ」

じゃないと、殺しそうだ。
食ってしまいそうだ。

布団の中で父親に帰る様に言うと、両親は渋々帰った。

腹が減った。

Aは？
Aは何処だ？

柳沢の話なら、アイツも再生してるんだろ？
いくら目を瞑っても、眠気は一切来ない。

Aを探そうと、ベッドから降りる。

意味の無い点滴を引き摺りながら、病室を出る。
夜なのか、窓の外は暗い。

先程俺の健康観察をした看護師が、慌てて俺の所に来た。

「どうしたんですか？まだ病室で大人しくしていて下さい」

「……妹は？」

会わないと、死にそうだ。

「妹さんの病室ですか？こちらです」

看護師さんに案内された病室に入る。

Aが、ベッドの上で静かに眠っていた。
つける意味の無い酸素マスクをつけて、意味の無い点滴が、腕に繋がっている。

Aの規則正しい寝息が聞こえた。