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Aの浮き輪をレンタルしたが、Aは最初の五分しか浮き輪を使わなかった。
元クラスメイトとAが泳ぎで競争しているのを見ながら、レンタルした浮き輪に体重を乗せる。
レンタルした意味が無いな。
勿体無い……
「＊、＊＊＊くんっ」
ツインテールが、泳いで俺の近くに来た。
「浮き輪、使うか？」
「え？！」
目を見開くツインテール。
溺れそうだな。
泳ぐのが苦手なら、無理してここまでこなくても良いだろ。
俺でやっと足がつくくらいの深さなのに……
「Aが使わねぇし」
「い、いい！私、泳げないわけじゃないし！」
「そうかよ」
俺は浮き輪を引っ張りながら、A達の所へ向かう。
「ま、待って！」
ツインテールが、必死になって俺について来る。
俺はそんなツインテールに浮き輪を頭上からはめさせた。
「使え。溺れられちゃあ、こっちが迷惑だ」
両手が空いたので、泳いでAに近く。
「A」
「あ、＊＊＊……あれ？心菜ちゃんは？」
「浮き輪渡した」
Aの水着の肩紐がズレてたので、戻しておく。
「俺、そろそろ戻るから」
「えっ、もう？」
Aが「まだちょっとしか泳いでなくない？」と眉を寄せる。
「疲れた」
主に移動と、あのツインテールの対応で。
「そっか」
Aは特に引き止めたりはしなかった。
「アイツから離れるなよ」
と、俺は元クラスメイトを指さす。
アイツは無害だから、Aの近くに居ても良い。
「わかった」
素直に頷くAの頭を軽く撫でる。
海水で髪が傷んでいた。
海から上がり、荷物の置いてある所まで歩く。
疲れた。
日光が、強い。
砂が日光を反射して、目が痛い。
海水が日光を反射して、どこを見ても眩しい。
影に行きたい。
「おいおいっ、ヤバくね？」
「やばっ！？」
一緒に来たメンバーで荷物当番をして居た二人が、いきなり立ち上がった。
何事だと思い、二人の視線の先を追う。
人が溺れたらしい。
誰だよ溺れたの……と思いながら、様子をボーッと見る。
救助沙汰になったらしい。
浜に引きずり上げられたのは、あのツインテールだった。
浮き輪を使わなかったのか？
焦った様子で、Aが俺の元に駆け寄って来た。
「心菜ちゃんが、溺れちゃって……」
「らしいな」
「今日は、もう帰ろうって」
「そうか」
レンタルした浮き輪を返さねぇとな……
「浮き輪、探して来る」
Aをその場に残して、浮き輪を探した。
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作者名：そうや | 作成日時：2020年9月27日 15時
