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驚く程、鬼に遭遇しないな。
難無く七日目を迎えられた。
もうすぐで陽が昇りそうなので、勾玉野郎と集合場所へ向かう。
「特に何も起きなかったな」
勾玉野郎がポツリと呟いた。
何でコイツはフラグを建てるのだろうか？
お前がそんな事言ったから、絶対何か起きるじゃん！！
「油断す＿＿＿」
「ぅぎゃあっ！？」
集合場所が目と鼻の先となったのに、私の言葉を遮って、叫び声が聞こえた。
勾玉野郎はうんざりした様に額に手をやる。
「何で集合場所の前に、あんなに鬼が群がってんだよ……」
私が知る訳ねぇだろ。
目の前には、ギャアギャア喚く鬼の群れ。
群れと言っても、鬼同士で戦いあっている。
フラグ回収乙です。
鬼の中心に、人の気配がする。
鬼に囲まれているらしい。
誰が人を食べるのかと、鬼達は喧嘩している様だ。
「まさか……あの群れに突っ込むとか考えてねぇよな？」
「そのまさかだけど？」
何、当たり前のことを聞いてるの？
集合場所に行くには、多かれ少なかれあの群れの鬼を殺さなきゃいけないのだ。
どうせなら、獲物に集中している間にサクッと殺った方が良い。
「あの鬼達、邪魔だし」
「勝手にしろ。俺は迂回する」
勾玉野郎は私に背を向けると、さっさと歩いて行く。
アイツの血は何色なのだろうか？
ちょっとは手を貸してくれても良いと思う。
私は刀を構えると、深呼吸をした。
筋肉の繊維一本一本、血管の一筋一筋まで空気を巡らせろ。
雷鳴の様に、素早く、空気を切り裂け。
鬼の首を、斬り落とせ。
雷の呼吸 弐ノ型
稲魂
三体程、鬼を殺せた。
そのまま流れる様に他の鬼も殺す。
直前まで鬼はお互いに殺しあってたから、苛立ちで動きが単調になっている。
「クソがぁ！折角の稀血なのによぉ！！」
鬼が叫んだ。
どの鬼かは知らない。
襲いかかって来る鬼の攻撃をいなしていたら、鬼に囲まれていたであろう人の叫び声が聞こえた。
「ウワァぁっ！！？ごめんなさい！ごめんなさい！もうしませんから！良い子にしてるからぁ！」
鬼と鬼の隙間から、その人が食われかけているのが見えた。
ヤバイ……
「邪魔だ退け！！」
鬼を踏み台にして、人を食おうとしていた鬼の首を斬った。
「おいテメェ！巫山戯んじゃねぇぞ！！」
背後から声が聞こえたと思ったら、何故か勾玉野郎が鬼に追いかけられていた。
……何があったの？？
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作者名：そうや | 作成日時：2020年8月14日 10時
